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「シッコ」をお勧めします。

”おしっこ”とは全く関係ありません。

画像:sicko102.jpg説明
“シッコ(sicko)”とは病人のことです、「ボウリング・フォー・コロンバイン」で国民の銃所持を認めた米国を批判し、「華氏911」ではジョージ・W・ブッシュ大統領をこき下ろした、ドキュメンタリー界の異端児にして旋風児のマイケル・ムーア監督。
本作で新たに告発するのは、米国が先進国で唯一公的な国民皆保険制度を持たないことと欠陥が多い米国の民間保険について。
それらが異常なことをムーアは、国内だけでなく他国にも豊富に取材しパワフルに訴えています。この「シッコ」だけではムーアの意見はやや理想的すぎるかもしれませんが、日本でも医療保険に注目が集まる昨今、考えさせられる意欲作なのは間違いありません。



 仕事中に誤って2本の指を切断してしまった米国の男性は、手術に薬指が1万2000$、中指が6万$かかると知り、中指をあきらめる。公的な医療保険制度がなく、民間の医療保険は保険料が高い米国では、6人に1人は保険に入っておらず、そのために毎年1万8000人が命を落としているという。民間の保険に入っていても保険会社は保険金の給付を渋ったり、一方で政治家と癒着する。ムーア監督は各国を取材し、米国の異様さを確認する。



先進国の中で唯一公的な国民皆保険制度を持たないアメリカ、『ボウリング・フォー・コロンバイン』でアカデミー賞長編ドキュメンタリーを受賞した、気鋭の映像作家マイケル・ムーアが問題提起した作品です。
アメリカが抱える深刻な医療問題と不条理な現状に鋭いメスを入れて浮き彫りにしました、良く映画でも主人公たちが保険のことを言ったりしているのがこれを見て良く分かりました。

あのマイケル・ムーアが発表し今年のカンヌで大絶賛されたこの「シッコ」、「Sicko」とは病気“シック”の変形で権力者たちに“病気じゃなぁい”というような時に使うらしいです、「ボウリング・フォー・コロンバイン」で“銃社会アメリカ”を告発し「華氏911」でアメリカの“戦争”の実体を暴いたマイケル・ムーアが、次に切り込んでいったのは“米国の医療保険制度”でした。

今アメリカには5千万人の非保険者がいて仕事場で怪我をして病気にかかっても莫大な治療費を取られているそうです、指を切り落とした人や膝を切った人に癌を患った人などそういう例をひとつひとつ挙げながら、ムーア一流の映像を見せて時には笑いなどを交えながら“保険会社”はこんなに儲けているという実態を見せてくれます。

面白かったのは両耳が悪いのに片方の耳のしか手術して貰えなかったアネットちゃんが、マイケル・ムーアがアメリカの医療制度の映画を撮るからシグナ社の保険の文句を言うと言ったら、シグナ社から直ぐに電話があってアネットちゃんのもう片方の耳の手術が出来るようになったと電話が入った所ですね。

保険会社が勧誘する時は美味しいことを沢山並べて、いざ支払う段階になるとあらゆる調査をし重箱の隅をつっつくような些細なことを理由にして、医師会とグルになってなんとしてでも支払いを拒む実態も見せてくれました。

マイケル・ムーアが言っているようにアメリカ人は親切で寛大だと僕も思ってましたが、入院費や治療費が払えないからと言って貧しくて困っている患者を追い出したりするのは酷いと思いました、フランスやカナダやイギリスと比較したりしてアメリカがヒドい医療制度をとっていると思いましたよ。

凄く残酷だなぁと思ったのは“9・11”で散々ボランティアを持ち上げたのに、5年たって後遺症が出た人達に手を差しのべようともしない国やニューヨークの態度を見せ、テロ実行犯がアメリカの軍事基地でどんなに手厚い医療を受けているかを観客に知らせます。

いかに国や企業が“国民皆保険”が社会主義的発想で恐ろしい制度だと国民に思わせたか、いかに医師や保険会社が患者にアレコレ言って保険料を取って保険金を払わないようにしているかが分かりました、そしてマイケル・ムーアは『仮想敵国』に対してあるとんでもない行動に出るんですがこれがまた凄かったです!

マイケル・ムーアのドキュメンタリーは“ヤラセ”だとかすぐ言われたりしますが、このアメリカの“医療制度”の実態は彼が題材に値するモノだと思いました、これからハリウッドの映画で病院のシーンを見る目が変わってしまいそうです、お勧めします。