 | 「半落ち」「クライマーズ・ハイ」など、映像化も引く手あまたの人気作家・横山秀夫の原作を、佐々部清監督が豪華キャスト&スタッフで映画化した作品です。 中でも歌舞伎界の人気者、市川海老蔵(11代目)の映画主演デビューが注目の的に。野球に情熱を捧げた元エースながら、“回天”への乗り組みを志願した主人公を爽やかに演じるほか、伊勢谷友介、上野樹里ら映画やTVで幅広く活躍する売れっ子たちが共演。お馴染みの名匠・山田洋次も共同脚本に名を連ね、普遍的で見応えのある青春群像劇に仕上がりました。
1945年4月、1隻の潜水艦に極秘任務を帯びた4人の若者が乗り込んでいた。敗戦が色濃くなった日本は、最後の秘密兵器“回天”に戦況挽回の望みをつないでいた。それは定員1名、脱出装置なしの小型潜水艦。そこに大量の爆薬とともに乗員が乗り込み自ら操縦、敵艦への自爆攻撃を仕掛けるというもの。4人の若者のうちの一人、並木浩二(市川海老蔵)は、甲子園の優勝投手。周囲の期待を背に大学へ進学したものの、肩を壊してエースの座を手放してしまう。それでも並木は野球への情熱を失うことはなかった。艦内で出撃命令を待つ並木の脳裏に、そんな野球に打ち込んだ青春の日々、そして大切な人たちのとの別れの日の思い出が静かに甦る。
『半落ち』の監督佐々部清と原作の横山秀夫の名コンビが贈る、戦争の愚かさを正面からリアルに描いた戦争ドラマでした。 第二次世界大戦末期に日本海軍の最終兵器である、人間魚雷“回天”の乗組員に志願した若者たちの眩い青春を追います。 敵鑑への自爆攻撃を決行するために暗い海の中へと向かった、市川海老蔵に伊勢谷友介に柏原収史、塩谷瞬ら若き青年の大切な人との思い出を胸に秘める彼らと、彼らを送り出した家族や恋人の痛切な思いが胸に迫ってくる映画でした。 海老蔵演じる並木は大学野球の選手でしたが時は戦時中で、仲間や大学の同級生たちは皆志願して兵隊として招集されます。 並木には上野樹里演じる美奈子という恋人がいましたが、入隊した海軍には最後の作戦として人間魚雷の“回天”に乗って、二度と戻れない・戻らないで『特攻隊』のように敵船に爆弾を積み込んだ魚雷で、死にに行かなければならない悲しい運命を描いていました。 人間魚雷の“回天”の恐ろしさは十分に分かりました、爆弾を積んでいるというのは勿論後ろには進めないとか脱出口がないとか、とにかく乗り組む若者に“死んでこい”と言っているのと同じですよね。 香川照之さんや田中実さんも好演していました、4人の人生というよりは殆ど海老蔵演じる並木家を中心としたお話しでしたね、海老蔵も歌舞伎のような演技だったらどうしようと思いましたが、とても普通の青年を爽やかに演じていていい演技だったと思いました。 永島敏行さんも海軍のお偉いさんを演じていました、僕等が若いときは永島さんが海老蔵や伊勢谷が演じたような若者の役を演じていたんですよね、時代の流れを感じてしまいますがこういう戦争のことを若い人達が伝えて演じることが大切な事なんだと思いました。 三浦友和さんが海老蔵に『お前は敵の姿を見たことがあるのか』と聞きます、行く気にはやる海老蔵は『敵は敵、アメリカもシナもフランスも』と答えますがハッキリとは答えられません、でもその答えがラストの塩谷君とのキャッチボールの中で語られます。 イザムや黒田勇気の好演も印象的でした、塩谷瞬も伊勢谷君も良かったですがもう少し海老蔵一家以外のサイド・ストーリーも、あった方が良かったかなという印象を受けました。 でも反戦映画としては良く出来ていたと思います、主人公はこの手の映画ではこういう最後を迎えなければならないのでしょうが、自殺を考えているような人には片っ端からこういう映画を見せてやりたいと思いました、お勧めします。 |