 | 「リプリー」「コールド マウンテン」に続いてアンソニー・ミンゲラ監督とのコンビは3度目となるジュード・ロウが、2人の対照的な女性の間で心揺れ動く男性主人公を、切ない魅力たっぷりに好演していました。 そして、以前「イングリッシュ・ペイシェント」でやはり同監督とコンビを組み、第69回アカデミー助演女優賞を得ているジュリエット・ビノシュと、「美しい人」のロビン・ライト・ペンが各自の持ち味を発揮した熱演を披露し、観る者の心を熱く揺さぶらずにはいられない作品でした。『ラブ・アクチュアリー』のマーティン・フリーマンも、ジュード・ロウのビジネス・パートナーを好演していました。
ロンドンのキングス・クロス。建築家のウィル(ジュード・ロウ)は、この地区にオフィスを開き、都市再開発の巨大プロジェクトを請負っていた。私生活では映像作家リヴ(ロビン・ライト・ペン)とその娘と暮らしていたが、心のバランスを崩して苦しむ娘のビー(ポピー・ロジャース)存在がリヴとウィルの間に暗い影を落としていた。そんな時、彼のオフィスが2度も窃盗の被害に遭う。やむを得ず自ら夜のオフィスを見張り始めたウィルは、やがてオフィスに侵入しようとしていた少年ミルサド(ラフィ・ガヴロン)を発見、少年の身辺を探るうち、次第に彼の母親アミラ(ジュリエット・ビノシュ)に心惹かれていく。
ロンドンを舞台にジュリエット・ビノシュとロビン・ライト・ペン(まだ離婚前だったからなぁ)という、対照的な女性2人の間で真実の愛を求めてもがく、青年ジュード・ロウの姿を描いた恋愛ドラマです。 今年の3月に54歳の若さで急逝したオスカー監督のアンソニー・ミンゲラが、図らずも傷つけ合ってしまう男女の心の機微を、丹念に描いたミンゲラお得意のメロ・ドラマです。 設計士のジュード・ロウ演じるウィルはロビン・ライト演じるリヴと10年も一緒に暮らしています、リヴの娘のビーは情緒不安定で病気を抱えていました。 ある日ウィルが友人のマーティン・フリーマン演じるサンディと共同経営する会社に、ジュリエット・ビノシュ演じるアミラの息子のミルサドが泥棒に入ります、アミラはサラエボの戦火から逃れてきたイスラム系で今は裁縫の仕事をして父親を失った家計を養っています。 犯人を待ち伏せするウィルはミロを自宅までつけて、アミラの自宅を見つけて最初は様子を見るためでしたが、次第にウィルはアミラに惹かれていきます・・・。 アミラが友人のタニアに息子のミロを守るため、ウィルに抱かれている写真を撮らせるのには驚きました、これは息子の犯した罪の罪滅ぼしからなのかウィルの家族に対する保険のようなものなのか、それとも本気でウィルを好きになった罪悪感からなのか見ている僕らに考えなさいと言っているようでした。 またウィルも恋人のリヴの娘のビーを気にしながらも自分の本当の娘では無いからなのか、リヴが真剣に悩んでいるビーのことを考えているつもりなのに一人疎外感をおぼえるウィル、アミラとの情事に逃げてしまっている自分の姿に気づき一人考えるウィル。ミンゲラ監督らしく『愛とはいったい何なのか?』と言った問い掛けが見事、マーティン・フリーマンのサンディが恋するエリカと恋人になるのも印象的、彼の純愛こそがミンゲラが伝えたかったことなのかもしれませんね。 しかしミンゲラ監督はジュード・ロウとジュリエット・ビノシュが好きですよね、僕は『イングリッシュ・ペイシェント』のクリスティン・スコット・トーマスの美貌と演技が好きでしたが、ジュリエット・ビノシュも『ポンヌフの恋人』以来好きな女優さんでしたし役柄も好きでした。 『あなた幸せ?』と訊くアミラにウィルは『十分にね』と答えます、イスラム系のアミラは『英国人らしい』と言って笑います。ある意味ジュード・ロウの私生活そのままと言ってもいいですかね、シエナ・ミラーという素晴らしい恋人がいたのに、ベビー・シッターと浮気してしまうと言う・・・・・。 ラストまで“愛”にこだわり死ぬまで愛を模索し続けたて生き抜いた、アンソニー・ミンゲラ監督は流石だと思いました、お勧めします。 |