 | 男女のアベックばかり襲う犯人が、大胆不敵にも地元新聞や警察に犯行声明を送りつけたという、まだ当時は珍しかった類の連続事件が本作のモチーフです。 これまで映像派とされてきたフィンチャー監督(「パニック・ルーム」)ですが、本作は得意の映像美を抑制し、まるで事件当時多かった社会派映画の乾いたタッチをなぞり、捜査陣やマスコミなど事件の当事者たちをクールに俯瞰してみせました。 「ダーティハリー」の連続殺人犯スコルピオのモデルになったことで有名な事件ですが、本作にもちゃんと「ダーティ〜」の試写会の場面があるのがユニークです。 主演は「ブロークバック・マウンテン」のジェイク・ギレンホールに「アイアンマン」のロバート・ダウニー・Jr、「ハッピー・フライト」のマーク・ラファエロに「恋しくて」のイライアス・コティーズ。クロエ・セヴィニーにアンソニー・エドワーズ、ブライアン・コックスなど豪華キャストでした。
1969年7月4日、カリフォルニアでドライブ中の若いカップルが銃撃され女性は絶命した、と警察に通報が入る。そしてその通報者は最後に“犯人は俺だ”と言い残していた。それから約1ヶ月後、サンフランシスコ・クロニクル紙に一通の手紙が届き、7月の事件を含め2件の殺害を実行したとする声明文が書き記されていた。それは、のちに自らを“ゾディアック”と名乗る者からの最初の手紙だった。さらに、そこには謎の暗号文も添えられ、それを新聞の一面に載せなければ大量殺人を決行する、と脅迫してきたのだった。以来、同紙の記者エイブリー(ロバート・ダウニー・Jr)と風刺漫画家グレイスミス(ジェイク・ギレンホール)は、この一件と暗号解読に並々ならぬ執着をみせ没頭していく。一方、サンフランシスコ市警の刑事トースキー(マーク・ラファエロ)とアームストロング(アンソニー・エドワーズ)も取り憑かれたようにゾディアックを追いかけるが…。
1968年にアメリカのサンフランシスコで“ゾディアック(占星術の黄道十二宮)”と名乗る連続殺人事件が発生、未だ未解決の同事件を『セブン』のデビッド・フィンチャーが息詰まるタッチで映画化しました。 僕も事件の事は知っていましたがここまで詳しくは知りませんでした、原作の著者でジェイク・ギレンホールを主人公に映像や色調は60〜70年代を意識した色調で、ロバート・ダウニー・Jrにマーク・ラファエロ、イライアス・コティーズにクロエ・セヴィニーなど大好きな俳優さんばかり出ていて嬉しくなりました。 デビッド・フィンチャー監督作品って僕には当たり外れが激しいんですよ、当たり外れというか『セブン』は良かったけどラストが悲惨過ぎてイマイチ、『ファイト・クラブ』は途中までは良かったですがラストが少しいい加減というか好きになれませんでした、でもこの『ゾディアック』はなんかフィンチャーらしくないところもあって面白かったです。 ドライブ中の若いカップルが拳銃で襲われ女性が死ぬ事件で映画が始まります、サンフランシスコ・クロニクルという新聞社に一通の手紙が届き、自分が犯人で“ゾディアック(黄道12星座)”と自ら名乗りその上“暗号”まで添付してきました。その連続殺人犯“ゾディアック”に30年の長きに渡って人生を狂わされた、4人の男たちを描いた異色作でそのサスペンスぶりは、『セブン』を作ったフィンチャー監督の真骨頂といった感じでしたかね。 主人公の風刺画を描く見習いの漫画家ロバートを演じるジェイク・ギレンホール、同僚の優秀だけど飲んだくれ記者ポール役のロバート・ダウニー・Jrに、刑事デイブ役の“カメレオン・マン”マーク・ラファエロ達の演技は素晴らしかったです、同じく刑事マラナックスを演じたイライアス・コティーズもが好演していました。 前半は実際に起こった連続殺人を詳しく鮮明に見事に再現していて、後半はイラストレーターでパズル・マニアのロバートが独自に犯人の調査に乗り出すという感じでした、妻のメラニー役のクロエ・セヴィニーも呆れて実家に帰ってしまうくらい、ロバートは“ゾディアック”事件にのめり込んでいきます。 調査権がまったくない素人がどこまで犯人を特定することが出来るのか、まず筆跡鑑定というものに挑戦しますがこれが一筋縄ではいかない、それでもロバートは呆れるデイブやマラナックスらの協力や意外な役のクレア・デュヴァルらの証言で、事件の真相に近付いて行きますが・・・。 犯人らしき男の素行も恐怖でいっぱいでした、未解決の事件ですがここまで確信に迫っていくことが出来たのも面白かったです、なんかデビッド・フィンチャーが新境地を開いたような感じもしましたが、久々にデビッド・フィンチャー作品を堪能出来た気がしました、お勧めします。
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