 | 大好きな父親が死んだという事実をなかなか受け入れることができずに、混乱した行動を繰り返し家族や学校の教師ら周囲を、困惑させてしまう10才の少年イリアス。そんな深い哀しみに直面した子供の心の内面を、これが長編デビュー作となるギリシャの女性監督ペニー・パナヨトプルがみずみずしく繊細に描写しました。 いたいけな表情で主人公の少年を好演したヨルゴス・カラヤニス君は、2002年ロカルノ国際映画祭の主演男優賞を、史上最年少の9才で受賞しました。
1969年、ギリシャの首都アテネ。両親と兄と共に4人で暮らす10才の少年イリアス(ヨルゴス・カラヤニス)。けれども大好きな父親(ステリオス・マイナス)は、行商で年中、家を空ける生活が続き、夫婦の間にも微妙な亀裂が生じていた。そんな父親が久々に帰宅して家族一緒の楽しい時を過ごしたのも束の間、再び行商の旅に出た彼は、交通事故で突然この世を去ってしまう。けれどもイリアスはその事実をなかなか受け入れられず、空想の世界に逃避するようになって周囲を困惑させ…。
アポロ13号が月面着陸した1969年のギリシャのアテネで行商に出た父親が、交通事故に遭って帰らぬ人となった10歳の少年イリアスの、現実を受け入れられずに周りを困らせてばかりいましたが、彼の母や兄や周囲の力によって徐々にその心を取り戻していき、彼は新たな一歩を踏み出していきます。 少年が深い悲しみを受け止めていく心の軌跡を、ギリシャの女性監督のペニー・パナヨトプル(言いにくい・・・)が、女性ならではの感性でみずみずしく繊細に綴っていました。 イリアス役のヨルゴス・カラヤニス君はロカルノ国際映画祭でジェラール・ドパルデューやロビン・ウィリアムス等をおさえて、史上最年少で最優秀主演男優賞を獲得したそうです、パナヨトプル監督も『彼は星の王子様』みたいと絶賛してましたね、僕には従兄弟の小さな頃と瓜二つで笑えましたが。 パパが大好きな少年イリアスはいつでもパパと一緒にいたがりますがパパは仕事がら家を空けがち、ママやお兄ちゃんのアリスはそんなパパとぶつかってばかりですがそんなパパがある日行商の途中で交通事故死、パパが死んだことを理解出来ない・認めたくないイリアスはママや兄のアリスを困らせます、イリアスはパパの『月面着陸までには戻る』という書き置きを信じてずっと待っていましたが・・・。 ママやお兄ちゃんに伯父さんのテオドシウスも突然の“パパの死”に悲しんでいますが、イリアスの頑ななまでの意志に困ってしまいます、皆はそんなイリアス君を暖かい瞳で見守って行くんですが、ママやお兄ちゃんやテオドシウス伯父さんの優しさが良かったんだろうなと感じました。 初めはイリアス君の事を単なるワガママなガキんちょにしか思えなかったですが、パパにお土産でもらったチョコレートをベッドの下の箱に貯めて隠していたり、真っ直ぐな瞳で『パパは死んでなんかない』とうったえる姿が次第に可愛らしく思えてきます、パパの代わりにお婆ちゃんに手紙を書くのも感動しました。 ギリシャの風土や文化も垣間見ることが出来ました、ママ役のイオアンナ・ツィリグーリもCSI:NYのメリーナ・カナカレデスみたいに、美しいけどギリシャの火とって独特の美しさがありますよね。 やっぱりヨルゴス・カラヤニス君の演技は素晴らしかったです、僕の従兄弟にソックリなのでそれを想像しながらご覧になってください、お勧めします。
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