 | わずか70ドルを盗んだ罪で10年以上も不当に投獄され、服役の中で黒人解放を訴える政治結社ブラック・パンサー党の指導者の一員となったジョージ・ジャクソン。後に彼は脱獄を企てたとして射殺されたそうですが、現在もその死の真相は闇に包まれているそうです。 本作は、獄中から上梓された彼の書簡集が出版される前後の経緯を通じて、その足跡を辿る実録ドラマです。人気ドラマ「CSI:科学捜査班」のウォリック役で知られるゲイリー・ドゥーダンが、ジャクソンに扮して熱演を披露しています。随所に挿入される実際のジャクソンや関係者の記録フィルム映像も興味深い作品でした。
ブラック・パンサー党と関係の深いブラック・ゲリラ・ファミリー創設者の1人ジョージ・ジャクソン(ゲイリー・ドゥーダン)は、18歳の時に微罪で逮捕され、禁固1年から終身という不当な判決を受けていた。仮釈放すら許されない彼の獄中生活が10年を過ぎた1970年、ニューヨークの出版社に勤める編集者デヴィッド(ダレン・ブリジット)は、ジョージが獄中で記した手紙を書簡集として出版すべく、カリフォルニアのサン・クエンティン刑務所に服役するジョージと面会するのだが……。
人気ドラマ『CIS科学捜査班』のウォリックことゲイリー・ドゥーダンが、黒人解放運動家ジョージ・ジャクソンを熱演した実話のドラマです。 どうもゲイリー・ドゥーダンは『CSIのウォリック・ブラウン』のイメージが強過ぎて、違う役はどうかなと思っていましたがここでは60年代から活躍した、黒人解放運動家ブラック・ゲリラ・ファミリーのジョージ・ジャクソンを熱演していました、こういう“黒人解放運動モノ”が未だに映画になるということはアメリカの黒人蔑視は酷かったんだなぁと思わされました。 “ブラック・パンサー”の政治組織の支部らしいのですがジョージの“ブラック・ゲリラ・ファミリー”は、戦闘集団で会員集めは刑務所の中というのも凄いなぁと思いました、文字通り“戦闘集団”らしく非暴力ではなく“暴力”を持って立ち向かうというものでした。 ジョージは70ドルを盗んだだけで7年も収監されているのに、警告なしに黒人の活動家の仲間を3人も殺した看守が全くのおとがめなし、その理由が『殺された黒人たちは殺人を企てていた、それを未然に防いだ』というのがその理由でした、そしてジョージが犯人としてあげられた訳です。 これを聞いて白人たちはある意味黒人たちを心底恐れていたんだなと感じました、アパルトヘイトを撤廃させたマンデラ大統領をもとにした映画『マンデラ大統領の看守』でも、南アの白人たちは『黒人を怖れていた』と言ってましたものね。 ジョージは“血の流れない革命はない”とデヴィッドに言います、デヴィッドが血の流れない革命もあったと返すと『あんたらの歴史ではな、相手を納得させるには力で押さえつけるしかない』と答えます、この言葉にジョージ・ジャクソンの全てが集約されていると思います。 愛する弟ジョナサンの死や連邦捜査官らの出版差し止めの脅し、フェイへの脅迫状にアンジェラの逮捕など色々な見どころもありましたが、思っていたよりも血なまぐさいお話でした。 ジョージがタバコをデヴィッドにもらうときに『俺は生まれつき癌だから、フィルターはいらない』と言って、タバコをもらうシーンの時は笑いました。 過激な黒人解放運動家のジョージ・ジャクソンのお話でした、ラストも“戦闘集団”らしいモノだったと思います、お勧めします。
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