 | 性同一性障害(トランスセクシュアル)に悩む父親と愛を知らずに育った息子が、ひょんなことからアメリカ大陸横断の旅に出るハートフル・ロードムービーです。 主演のフェリシティ・ハウフマンは、女性になろうとしている男性という複雑な役どころをみごとに演じてアカデミー主演女優賞にノミネートされたほか、ゴールデングローブ賞主演女優賞を獲得するなど高い評価を受けましたよね。オスカーもこのフェリシティ・ハウフマンに行くべきだったと思いますよ。共演は「ドーン・オブ・ザ・デッド」のケヴィン・ゼガーズ。監督は新人のダンカン・タッカーです。
若い頃から男性であることに違和感を抱き、いまは女性として独りLAで慎ましい生活を送るブリー(フェリシティ・ハウフマン)。ようやく肉体的にも女性になるための最後の手術に許可が下りた矢先、彼女のもとにニューヨークの拘置所から1本の電話が掛かってくる。トビー(ケヴィン・ゼガーズ)という17歳の少年が実の父親“スタンリー”を探しているというのだ。トビーは、ブリーがまだスタンリーという男性だった時代に、ただ一度女性と関係を持ったときに出来た子どもだったのだ。こうしてブリーは渋々ながらも、トビーの身元引受人になるべくニューヨークへと向かうのだが…。
この映画はフェリシティ・ハウフマンが、女性ながら女性に性転換した男性を演じて話題になりましたよね、オスカーにノミネートされた時には素晴らしく美しい女性でしたが、この『トランスアメリカ』では見事に性同一性生涯の男性を演じていました。 女性への性転換を望む男性スタンリー・シュバック=サブリナ・クレア・オズボーンの前に、17年前に1度だけ関係を持った女性との間にできた子供だという少年が現れます、その少年トビーを留置場から出してブリーは父親だというのを隠して、ブリーが性転換手術をするLAへ向かう米国横断の旅に出ます。その道中で見せるぎこちなくも温かな親子の触れ合いを、楽しいロード・ムービーの形式をとりながら見せてくれました。 複雑な役どころを演じたフェリシティ・ハウフマンが数々の主演女優賞を獲得しましたね、でもオスカーは大本命でしたがリース・ウィザースプーンに持っていかれてしまいましたが、でもフェリシティ・ハウフマンの演技も素晴らしかったです。女性なのにいわゆる“ニュー・ハーブ”役を演じるのは大変でしょうね、フェリシティ・ハウフマンも『声を男性の感じにするのが大変で、色々リサーチして研究した』と言ってました、映画を観ていてもフェリシティ・ハウフマン演じるブリーが“男”に見えてくるから不思議でした。 アカデミー賞は『ヒラリー・スカンク』の『ボーイズ・ドント・クライ』のように、こういう難しい役をやった人に賞をあげる風潮がありますが彼女にはあげませんでしたね。ヒラリー・スカンクが演じたのは“男性になりたい女性”で、ハウフマンが演じたのは“女性になりたい男性”、こちらの方が数段上手い演技だと思いましたが。 トビーが『「ロード・オブ・ザ・リング」はゲイの映画だ』と言ったことと、その根拠となった理由はかなりおかしかったです、トビーに男と言うのがバレてしまい車も盗まれてしまいますが、途中でカルヴィンと言う優しい男が泊まる場所を提供して途中まで送ってくれます。 やがてブリーは彼女を“スタンリー”と呼ぶ家族に会いに行きます、そこからストーリーは佳境に入っていきますが果たしてブリーが父親だと知ったらトビーはどうするのでしょうか、ブリーの手術はどうなのでしょうか? グレアム・グリーンやエリザベス・ペーニャ フェリシティ・ハウフマンの演技も素晴らしかったですが、ストーリーもとても良かったと思いました、ラストもあれで大正解だと思いました、お勧めします。 |