 | 「ナビィの恋」「ホテル・ハイビスカス」と、沖縄を舞台に秀作を撮り続けている中江裕司監督が、石垣島出身の人気バンド”BEGIN”のエッセイにインスパイアされて作り上げた1本です。ビギンならぬ“ビギニング”というバンドを結成した高校生たちの恋と友情、心の成長のドラマを石垣島ならではの独特の南国情緒と人情を、存分に織り交ぜながら魅力的に活写した作品です。 オーディションで選ばれた現役高校生の演技未経験の新人、東里翔斗、山入端佳美、宜保秀明、大嶺健一たちのはつらつとした好演も見ものでした。
ジャズシンガーの母とピアニストの父の間に生まれた少女・加那子(山入端佳美)は、彼女が4歳の時に父がいなくなって以来歌を歌えなくなってしまった。そんな加那子は、高校生となり幼なじみの栄順(東里翔斗)と再会する。そして、加那子の兄・セイリョウ(石田法嗣)が思いつきでバンド結成を宣言、栄順が歌、やはり幼なじみのマコト(宜保秀明)がギター、セイリョウがドラムを担当することに。そして加那子は、恥ずかしがり屋の栄順のとなりで盛り上げ役を担当する。渋々始めた栄順だったが、次第に音楽の喜びに目覚めていく。そして、不器用な栄順と加那子の間にも淡い恋心が芽生えていくが…。
沖縄の石垣島を舞台にバンドを始めた高校生男女の恋と友情を綴った青春ドラマでした、ビギンの同名の曲も買って持っているくらい大好きですし、独特の南国情緒も大好きなので見るのが楽しみでした。 主人公の加那子は父親が消えて以来歌を歌わなくなり今は空手に打ち込む毎日、以来兄のセイリョウが父親代わりになりますがその“ニイニ”セイリョウが、いきなり闘牛場で『バンドをやろう』と言い出してバンド活動を始めます、このセイリョウが不良だけど弱いものイジメはしない良き兄貴でした。 ヤッパリ沖縄では兄貴のことを“ニイニ”って本当に言うんですね、凄く可愛い呼び方でいいですね。 マコトはやったことないギターをやらされて栄順はヴォーカル、そして加那子はタンバリンやピアニカをやってセイリョウはドラムをやります、最初は勿論下手ですが山本リンダの『ねらいうち』からバンド活動が始まるのは笑えました。 牛の糞を良く踏むヒロシが仲間になり“セイリョウズ”は“ビギニング”となりますが、セイリョウは他界してしまい『八重山バンド天国』で優勝したビギニングは、セイリョウの夢『東京に行ってビッグになる』でもある“東京”へと行きますが・・・。 セイリョウは実は奄美に父親を探しに行きますが、父親は既に亡くなっていてその遺骨と曲を持ち帰ります、ビギニングはその時の曲を東京での大会で発表する事になりますが。 彼らが東京に着く当たりから僕は、この映画が何をモチーフにして誰をモデルにしたのかを知ることになります。 山入端佳美演じる加那子が皆から“小便たれで屁こきの加那子”と呼ばれていたのは笑えました、本当に小さかった頃は小便たれで屁こきだったのでしょうね、一人になってからオナラをしに一人で家を出る場面には大笑いしました、でもこの加那子が段々と可愛い女の子になってくるから不思議です。 闘牛で負けた牛や二頭のヤギなんかに物語を語らせたり石垣島の雄大な自然満載だったり、『ナビィの恋』の平良とみさんが加那子のおばあをやっていたり、ビギンがラストに顔を出したりしてくれますが、BEGINのエッセイや『恋しくて』をモチーフにしてこれだけの甘酸っぱい簡単で分かり易い青春ラブ・ストーリーを見せてくれたのは凄い、僕は大きく感動してしまいました。 100%なのか80%なのか、それとも40%なのか殆ど創作なのかは分かりませんが、爽やかで素晴らしくて素朴な魅力に溢れた映画でした、新人だと言う俳優陣の素朴な演技にも感動しました、お勧めします。
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