 | 亡くなった母親の遺産相続の条件を満たすべく渋々ツアーに参加した仲の悪い3兄弟や、文字が読めないアラブ系移民の少年など、出身や社会的境遇がそれぞれ異なる老若男女。彼らが、スペインの西端にあるキリスト教の聖地、サン・ジャックめざして巡礼の旅に出発します。 道中お互いに摩擦を生じつつも、次第に彼らが打ち解けあい心の交流を図るようになる様子を、「赤ちゃんに乾杯!」の女性監督コリーヌ・セローが笑いと涙を交えて感動的に綴った作品です。
仲の悪い3人の子どもたち、長男ピエール(アルチュス・ドゥ・パンゲルン)、長女クララ(ミュリエル・ロバン)、次男クロード(ジャン=ピエール・ダルッサン)。ある日、彼らのもとに亡き母の遺言書が届く。そこには、遺産相続の条件として、フランスのル・ピュイからスペインの西の果て、キリスト教の聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラ(サン・ジャック)まで1500kmにも及ぶ巡礼路を一緒に歩ききること、となっていた。信仰心などまるでない3人だったが、遺産欲しさに巡礼路のツアーに参加する。そんな彼らと2ヵ月の長旅を共にするのは、ガイドのギィ(パスカル・レジティミュス)にイスラムのメッカへ行けると勘違いしたアラブ系の少年や、どこかワケありな女性マチルド(マリー・ビュネル)などそれぞれに事情を抱えた個性豊かな面々たちだった…。
出身や社会的境遇の異なる老若男女が、スペインの西側にあるキリスト教の聖地サン・ジャックを目指して巡礼の旅に出発しますが、彼らが次第に打ち解け合うさまを感動的に描いた作品でした。 サン・ジャックとはキリスト教の三大聖地に数えられるスペインの地域らしくて、毎年フランスからキリスト教信者が100万人も訪れるサンティアゴ・デ・コンポステーラの別名みたいです、世界遺産にも登録されている丘陵地帯に大聖堂あって、巡礼ブームにものり本国フランスでは80万人を動員したそうです。 母親の残した莫大な遺産を相続するためにル・ピュイから、出世しか頭にない社長の長男ピエールと教師をしていて妻で母親でもある長女クララ、失業中で酒浸りの娘がいる次男クロードら3兄弟はサン・ジャックへの巡礼の旅に出ます。 彼らの他にも“道まかせ”の巡礼ツアーとしてガイドのギィやカミーユにエルザに何かありげなマチルド、イスラム教徒のアラブ人のザイードにラムジィなどもいました。 いかにもフランス人が好きになりそうなストーリー展開でしたが、今にも仲間割れしそうにお互いを罵り合っていた旅の仲間達が、次第に助け合い打ち解け合っていく様を結構丁寧に描いていました。 出発地点の教会のシスターが巡礼者たちの願い事を読み上げて、それをいいように書き換えるシーンは笑えました、砂漠の宿泊所の前の広場で皆が一斉に携帯電話をかけるシーンもおかしかったです、いかに現代人が携帯電話やパソコンに頼りきっているかが分かるシーンでした。 泊まるはずの宿がいっぱいで学校に宿泊することになったり、3兄弟ピエールにクララにクロードがフランス国境のピレネー山脈で遺産の巡礼は終わりだとギィに告げられたり、サンティアゴに到着した時には巡礼の仲間達が固い絆で結ばれて行く姿が丁寧に描かれていて面白かったです。 巡礼後の皆が変わっていった様子もキチンと描いていて、しゃくだけど面白い映画だと思ってしまいました、お勧めします。 |