 | 旧東ドイツで反体制派への監視を大規模に行っていた秘密警察“シュタージ”。 この『善き人のためのソナタ』はこのシュタージ側の人間を主人公に、統一後も旧東ドイツ市民の心に深く影を落とす“監視国家”の実態を明らかにするとともに、芸術家の監視を命じられた主人公が図らずも監視対象の考え方や生き方に影響を受け、新たな人生に目覚めてしまう姿を静謐なタッチでリアルに描き出す感動のヒューマン・ドラマです。 主演は自身も監視された過去を持つ東ドイツ出身のウルリッヒ・ミューエで、共演は「 マーサの幸せレシピ 」のマルティナ・ゲデックや「飛ぶ教室」のセバスチャン・コッホなどです。 監督はこれが長編第1作目となる弱冠33歳の新鋭の、フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルクです。
1984年、壁崩壊前の東ベルリン。国家保安省(シュタージ)の局員ヴィースラー大尉(ウルリッヒ・ミューエ)は国家に忠誠を誓う真面目で優秀な男。ある日彼は、反体制的疑いのある劇作家ドライマン(セバスチャン・コッホ)とその同棲相手の舞台女優クリスタ(マルティナ・ゲデック)を監視し、反体制の証拠を掴むよう命じられる。さっそくドライマンのアパートには盗聴器が仕掛けられ、ヴィースラーは徹底した監視を開始する。しかし、音楽や文学を語り合い、深く愛し合う彼らの世界にヴィースラーは知らず知らずのうちに共鳴していくのだった。そして、ドライマンがピアノで弾いた“善き人のためのソナタ”という曲を耳にした時、ヴィースラーの心は激しく揺さぶられてしまうのだったが…。
東西冷戦下の東ドイツの国家保安省の局員が、反体制の疑いのある劇作家とその愛人の監視を命じられますが…というお話しです。 確かアカデミー賞の最優秀外国語映画賞に輝いた作品ですよね、その他にも沢山の賞に輝いたんですが噂に違わぬ名作だったと思います。 ドレイマンとクリスタの盗聴を命じられたヴィースラーは、日夜盗聴を続けるうちにドレイマンとクリスタに2人の仲間の芸術や自由を愛する思想に感化されていきます。 この国家保安省はシュタージと呼ばれて、共産主義体制を維持する旧東ドイツの秘密警察で、要注意人物などの監視や諜報に従事する機関です、良く違う映画にも出てきますね。 睡眠さえ許さず尋問を行うなど、この映画でもその冷酷さが描かれていましたね、大学の授業で強制尋問などの講義があるのにはビックリしました、社会主義ならではだなぁと思いました。 ある生徒がその授業で強制尋問は非人道的だと指摘しますが、主人公は『尋問相手は社会主義の敵だ、それを忘れるな』と言い放ちます。 予想していたよりもヴィースラーはドレイマンやクリスタに感化されていきますが、後半のストーリーの展開やドラマチックな出来事も、静かな感動をもたらしてくれます。 題名の『善き人のためのソナタ』とは、初めはかつては一流の演出家でしたが今は危険人物として、職業を禁止されてしまっているイェルスカという友人から、ドレイマンの誕生日プレゼントとして贈られた戯曲の事でした。それが東西冷戦の終わりを告げるドイツのベルリンの壁の崩壊から、ヴィースラーとドレイマン達の運命もガラリと変わっていきます、『善き人のためのソナタ』という題名の本当の意味も、物語のラストに明らかになります。 色々社会主義について勉強になることもありました、東ドイツでもパワー・ハラスメントは存在したし、娼婦も立派に仕事しているんですね。 「 マーサの幸せレシピ 」のマルティナ・ゲデックがクリスタを演じていましたが、とても魅力的でしたね、あまりにも美しいのでビックリしてしまいました。 お勧めします、ラストのヴィースラーのちょっと誇らしげですがはにかむ笑顔が素晴らしかったです、お勧めします。
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