 | 『ほえる犬は噛まない』『殺人の追憶』と作る作品が全て大ヒットして評論家からも評価の高い、韓国のポン・ジュノ監督。その長編3作目となるこの映画も、当然のように期待を裏切らない出来ばえでした、ある意味期待以上だったかも・・・・・・。 都会のド真ん中に「怪物」が現れ、人々を恐怖に陥れるがそれはゴジラのような怪獣ではなく、恐竜ほどの大きさの動きが素早いモンスターだった・・・・。そしてそれに立ち向かうのは、軍隊や科学者、TVレポーターではなく、社会から落ちこぼれたような一家です。 笑える場面もありましたが、この映画は単なるコメディやパロディではありませんでした。シリアスとユーモアが不思議な感じでブレンドされている、独特の持ち味がある作品でした。平和な土手が一瞬にして阿鼻叫喚の地獄絵図と化してしまう冒頭のシーンは、何度でも見たくなるほど迫力がありました。 主演は「 シュリ 」「殺人の追憶」のソン・ガンホ、共演に「リンダ リンダ リンダ」のペ・ドゥナなどです。
ソウルの中心を東西に貫く大きな河、漢江(ハンガン)。その河川敷で売店を営むパク一家は、家長のヒボン(ピョン・ヒボン)、長男カンドゥ(ソン・ガンホ)、次男ナミル(パク・ヘイル)、長女ナムジュ(ペ・ドゥナ)、そして彼らの愛情を一心に受けるカンドゥの娘ヒョンソ(コ・アソン)の5人家族。ある日、いつものように人々が河川敷でくつろいでいると、突然、正体不明の巨大な生き物が出現、驚異的なスピードで動き回り、逃げまどう人々を次々と食い殺し始めた。店番をしていたカンドゥも中学生になる一人娘ヒョンソの手を握り逃げ出すが、混乱の中で手が離れ、ついにヒョンソは怪物に連れ去られてしまうのだった。その後、政府はグエムルが感染者を死に至らしめるウィルスの宿主であると発表、カンドゥたちパク一家も強制的に隔離されてしまう。悲しみに暮れるパク一家だったが、そんな時、カンドゥの携帯に死んだと思われたヒョンソから助けを求める一本の電話が入る。カンドゥはいくら訴えても取り合おうとしない政府の協力を諦め、残された一家4人でヒョンソの救出に向かうのだったが…。
この「グエムル -漢江の怪物-」はナカナカ面白かったですが、伝えたいテーマが『家族愛』ならばもうチョット家族のシーンを増やすとか、バックボーンをしっかりさせるとかした方が良かったかなとも思います。 真面目なのかフザケているのか良く分からないつくりになっていましたが、シリアスなドラマとギャグや笑いのバランスは良かったかなと思います、よくスピルバーグが残酷なシーンについギャグを入れてしまうというのにも似ていましたかね、ずっとラストまでそんな感じが続く作品でした。 ソン・ガンホは良くみる俳優さんですが、こういう役は似合っていますよね、どこかトボけているんだけど憎めない人という役柄は似合い過ぎるほどピッタリでした。 ペ・ドゥナやナミルパク・ヘイル、ピョン・ヒボンも悪くなかったけど一番頑張ったのはヒョンソ役のコ・アソンでしょうね、少し笑える緊張感の中で唯一と言ってもいい程真面目な演技をしていました、ナイス・キャスティングだと思います。 クリーチャーの巨大生物“グエムル”のデキもなかなかのものでした、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズを手掛けたWETA社と、『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』を手掛けたオーファネージが担当しているらしいのですが、歩くシーンは大した事はなかったですが橋の裏などを渡ったりするシーンは凄かったです!! 「ゴジラ」がハリウッドにリメイクされた時もそうでしたが、この「グエムル」も自分達国民が生み出したものではなく、『ゴジラ』はフランスが、この『グエムル』はアメリカが生み出したものになっていました。 この手の「人間の科学の力が生み出してしまった怪獣」モノは、皆違う国の責任だとでも言いたいのですかね、『ゴジラ』はアメリカのビキニ環礁での核実験が元で生まれたモノなのに・・・・。 確かに在韓米軍や軍隊に対してチクりとしている部分もありますが、何か型にはまったと言うかある一定の範囲を超えたものではなく、大まかに見れば前にも書きましたが単なる責任転嫁にも思えてしまいました。 パク一家一番の出来損ないの親になりきれないカンドゥが、謎の怪物”グエムル”との戦いを通して成長していくお話しです、でも一番頑張ったのはヒョンソだったと思います、『「パトレイバー」の盗作だ』ともいわれていますが僕は「パトレイバー」というのを知らないのでどうでもいいです。 モンスター・パニック物としてもマアマアでした、お勧めします。 |