 | 1996年、ニューヨークの小劇場。脚本家ジョナサン・ラーソンが書き上げた作品は、たった3ヶ月でブロードウェイへ進出し、トニー賞のみならずピュリッツァー賞までも獲得してしまいました。 現在上演中のブロードウェイのミュージカルとしては、『オペラ座の怪人』『美女と野獣』に次いで第三位、歴代でも第七位のロングラン公演記録を更新中だそうです、確かにみてて面白い作品でした。 そんな伝説のミュージカル『RENT』が遂に映画化されました、監督は『 グレムリン 』の脚本や『ハリー・ポッター』シリーズのクリス・コロンバス、彼の映画ならハズレはないだろうと安心して観ました。 プッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」をモチーフに、恋と友情、貧しさやドラッグ、HIV感染など、夢や芸術の世界を追う若者たちの姿を、名曲とともに描き出していきます。 ロジャー役のアダム・パスカルやマーク役のアンソニー・ラップなど、舞台のオリジナル・キャストに加えて、『シン・シティ』のロサリオ・ドーソンや『 アリー・myラブ 』のジェシー・L・マーティンなどが出演していて、ソウルフルで刺激的なドラマが展開されています。
1989年のクリスマス・イブの夜。イースト・ヴィレッジにある古いアパート。家賃を滞納し電気も暖房も止められた一室に暮らすルームメイトのロジャー(アダム・パスカル)とマーク(アンソニー・ラップ)。ミュージシャンのロジャーは恋人がエイズを苦に自殺して以来すっかり引きこもり状態。秘かに階下に住むヤク中のダンサー、ミミ(ロサリオ・ドーソン)に心惹かれる。一方、映像作家志望のマークはカメラを持ち歩きあらゆるものを記録する。マークの元彼女モーリーン(イディナ・メンゼル)は地域の再開発反対をパフォーマンスで訴える。彼女の現在の恋人は女性のジョアンヌ(トレイシー・トムズ)。ロジャーたちの親友トム・コリンズ(ジェシー・L・マーティン)はひょんなことからドラッグ・クイーンのエンジェル(ウィルソン・ジェレマイン・ヘレディア)と恋に落ちる。そんな彼らのかつての仲間で、家主の娘と結婚して以来すっかり変わってしまったベニー(タイ・ディグス)は、一帯の再開発を目論み住人の追い出しを図るが・・・・。
全編に音楽が散りばめられたミュージカルですね、「シェルブールの雨傘」ほどではありませんでしたが、セリフも殆ど曲にのせて歌うように使われています、ストーリー展開も歌も違和感なく受け入れられました。 この映画のテーマとなっているモノがエイズ・HIVであったり麻薬であったり、ゲイ・バイセクシャルであったり、芸術や夢など比較的重たいモノをテーマとしていますが、この映画を全体的に覆っている”明るさ”のようなものがそんなことを忘れさせてくれるようです。 主演のロジャー役のアダム・パスカルやマーク役のアンソニー・ラップなどは、ブロードウェイのミュージカルの時からそれぞれの役をやっているから当然なのかもしれませんが、みな歌も演技もとても上手です、特にロザリオ・ドーソンは上手かったですね。 美人だし演技も上手だけどミュージカルはどうなのかなと思っていました、でもナカナカ上手かったので驚きました、見事でした。 僕はゲイやバイではないので、イマイチその辺の気持ちは分からないところがありますが、そういったテーマにも切り込んでいてこちらにも伝えたい事がハッキリとストレートに、伝わってきたと思います。「ゲイやバイ・セクシャルが、この世界で一番人に優しい」といったある意見も、そうなのかもしれないと考えさせられました。 しかしこの映画でもへ「薬物中毒」「麻薬の過剰摂取」がテーマの一つとなっていますが、やっぱりアメリカは「麻薬反対」といいながら、切れないんだなぁと思いました、必ずと言っていいほどどの映画にもコカインやマリファナを吸うシーンが出てきます。 キリスト教を信じている国のくせに婚前交渉が当たり前だったり、離婚が当たり前の世の中になっているように、麻薬も一緒で撲滅すると言っておきながら本当にその気があるのかなと疑いたくなります。 暗いテーマを吹き飛ばすような素敵で力強いナニカがありました、曲の選び方や使い方にセンスを感じさせるものがありました、トニー賞だけでなくピュリッツァー賞までも獲得したのも頷けました、お勧めします。 元気が沸いてくる、素敵なミュージカルでした。 |