 | 常磐ハワイアンセンター(現:スパリゾートハワイアンズ)の誕生秘話を、40年の時を超え完全映画化したものです。 僕等の頃には『常磐ハワイアンセンター』というものが既にありました、なんであんなところに『ハワイアンセンター』があるんだろうとは思いましたが、それ程深くは考えた事がありませんでした。 しかしその『常磐ハワイアンセンター』に、このような背景があったとは知りませんでした、今までは少し笑っちゃったりしましたが、今では行きたいと思うようになりました。 すすけて色彩のない炭鉱町に、カラフルな60年代ファッションで降り立った勝ち気なダンス講師を松雪泰子が、母に猛反対されながらもフラに魅了されていく少女を蒼井優が、2人を優しく見守る炭坑夫の兄を豊川悦司が熱演しています。 「炭鉱」という古い体制の中で愚直に働き続ける人、勇気を振り絞って新たな可能性に賭ける人……。時代の荒波にさらされた炭鉱の厳しい日常と、女が自立できる道を初めて知った少女たちの成長が描かれていきます。 監督は「69 sixty nine」などの李相日監督、出演は上記の3人の他にも岸部一徳や富司純子、高橋克実に寺島進に南海キャンディーズのしずチャンこと山崎静代など、とても豪華でした。
昭和40年、福島県いわき市の炭鉱町。時代は石炭から石油へと変わり、閉山が相次ぎ、町は先細りの一途をたどっていた。そこで、起死回生のプロジェクトとして豊富な温泉を利用したレジャー施設“常磐ハワイアンセンター”が計画された。そして、目玉となるフラダンスショーのダンサー募集が地元の少女たちに対して行われた。この町から抜け出すチャンスだと考えた早苗(徳永えり )は紀美子(蒼井優 )を誘って説明会へと向かう。説明会では、セクシーな衣装で踊る姿に、大半の応募者が逃げ出し、残ったのは紀美子と早苗の他には初子(池津祥子 )と小百合(山崎静代 )のわずか4人だけだった。そんな中、元SKD(松竹歌劇団)のダンサー平山まどか(松雪泰子 )がフラダンスの教師として東京から招かれる。しかし、とある事情で渋々やって来たまどかは、教える相手がズブの素人と分かり、完全にやる気を失ってしまう…。
いやぁ、良い作品だというのは想像していましたが、それ以上の出来栄えだったと思います、2007年度の初見の映画ベスト1候補でした。 この物語はかなり脚色が銜えられているみたいですが、実話に基づいて作られたみたいです、実際に蒼井優チャンや松雪泰子チャン、岸部一徳などは実在の人をモデルにして作られたみたいです、松雪泰子チャンのモデルとなったカレイナニ早川<早川和子>さんという人がモデルのようです。 このカレイナニ早川さんは(役名は平山まどか)常磐音楽舞踊学院最高顧問で、70歳となった現在もダンスの先生をしているそうです。 この「フラガール」は公開前はそれほど注目されていなかったみたいですが、口コミによって評判が伝わり、ロングラン上映をする劇場が多くなったそうです(特にスパリゾートハワイアンズのある福島県いわき市の劇場では、連日満員だったみたいです)、最終的には目標を上回る観客動員120万人、興収15億円という大ヒットとなりました。 近年滅多に邦画を賛えることのなかった、映画評論家で僕の師匠でもあるおすぎさんが、久々に賞賛した映画としても話題となりました。 蒼井優チャンを主役としている批評があったり、松雪泰子チャンの方を主役としている批評がありましたが、 やっぱり松雪泰子チャンが主役になるんだろうなー、2人が主役でも全然構わないけど。 松雪泰子チャンがダンサーの役をやっていると聞いて、正直「彼女で大丈夫なのか??」と思いました、スタイルは抜群だろうけどダンスは・・・・・・なんて思っていました。 でもそんな心配は必要ないとスグに思い知らされました、蒼井優チャン達4人がまどか先生(松雪泰子チャン)のダンスを覗くシーンがあるのですが、これがまた躍動感に溢れていて素晴らしかったです。 蒼井優チャンは素晴らしかったですね、実質的な主役と言ってもいいと思います、蒼井優チャンの映画を観るたびに違った”蒼井優”が観られて楽しいです、本当に役に入り込んでいますね、今回もとっても良かったです。 蒼井優チャンはお父さんを炭鉱で亡くして、母で炭鉱に勤める富司純子(僕等の時代は寺島純子さんでしたね)と、やはり炭鉱に勤める優しいけどオッチョコチョイの兄豊川悦司さんと暮らしています。 父を炭坑で亡くした紀美子(蒼井優)は、親友の早苗(徳永えり)に誘われてフラガールを目指すのですが、家族の反対や早苗のリタイヤなどでフラガールを諦めそうになるのですが、まどか先生をはじめとする仲間や兄の応援などで再び頑張ります。 しかしトヨエツはいい役者になりましたよね、「 課長 島耕作」の時なんかはただの変な同僚役だったですよね、当時から演技力はありましたけど・・・。その後見た「 12人の優しい日本人」は素晴らしかった、順番はこちらが先でしたけどね。この「フラガール」でも妹の紀美子やまどか先生を暖かい目で応援しながら、それでも自分の生きる道は炭坑夫しかないという、どこか不器用な谷川洋二朗を好演していました。 そして母親役の富司純子も流石、炭坑夫の未亡人で紀美子と洋二朗の母親、自分も炭坑で働いている。 娘の紀美子のフラガール入りを反対していたが、やがて・・・・といった微妙な心の変化を上手く演じていました、さすがに寺島しのぶの母親ですね。あんまりネタバレしてしまうといけませんが、事故で小百合の父親の死に目にあえなかったフラガールに対して、風あたりが一層キツクなった時に、フラガールのために通りかかった洋二朗と一緒に皆に頼み事をしてまわるシーンはお見事でした!! 一番心配していた南海キャンディーズのしずチャンの演技も、思っていたよりもずっと上手で安心しました、個性の強い高橋克実さんに寺島進さんもどうかと心配しましたが、上手に雰囲気を壊さないように個性を発揮していました。 きっと「フラガール」の存在は、炭坑が『常磐ハワイアンセンター』に変わる事のホンの一部に過ぎないのかもしれませんが、そこだけにスポットを当てた分余計な情報や別のドラマが入ってこなかったのも良かったのでしょう。 『かもめ食堂』や『LIMIT OF LOVE 海猿』なども優れた映画だと思いましたが、この『フラガール』はそれ以上だったと思いました。 40年以上も昔の女性達が、みな蒼井優チャン達のように素晴らしいスタイルではなかったと思いますが、彼女たちの情熱と想いが見ているこちらにも伝わってくるようでした、ラストのダンス・シーンも素晴らしかったです、お勧めします。
岸部一徳、こんないい役やっていないで、借金王の兄貴を助けてやれ!!
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