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「スタンド・アップ」をお勧めします。

全米で最初にセク・ハラ訴訟に勝った、実話に基づく映画です。

画像:northcountry.jpg説明
この映画、正直言ってこんなに面白い作品になるとは思いませんでした、こういった”訴訟問題”を前面に押し出した作品の中では出色の出来栄えだと思いました。
少し「エリン・ブロコビッチ」に似た感じを受けました、あちらは一切法廷シーンのない訴訟映画ですが、こちらは訴訟シーンもありますがテンポや映画全体から受ける印象が似ている気がします。
鉱山労働者として働くシングルマザーが、男性社会の中で立ち上がっていく姿を、実話に基づいて描かれた感動作品に仕上がっています。『モンスター』でオスカーを獲得したシャーリーズ・セロンが、入魂の演技を披露しています。
こういった役どころは美しすぎる顔が邪魔して無いかな?と心配しましたが、見事に闘うシングル・マザーを演じていたと思います。
女性の脆さと強さという相反する両面をクロースアップひとつで表現してしまう様に、胸が詰まるような感動を呼び起こされました。
脇を固める俳優陣にもこれ以上ない実力派がそろいましたね。フランシス・マクドーマンドにシシー・スペイセクの両オスカー女優に加え、堅物な父親を演じるリチャード・ジェンキンズの名演も良かったです、ウッディ・ハレルソンが珍しく”弁護士役”で出演していますし、”悪人顔大魔王”ショーン・ビーンが、”生涯で最高・最良”の演技を見せてくれました。
監督は『クジラ島の少女』の監督ニキ・カーロ。ともすると暗くなりがちな主題を持つドラマに、不思議な力を与えています。



 暴力夫と別れ、2人の子どもを連れて故郷の北ミネソタの町に戻ってきたジョージー・エイムズ(シャーリーズ・セロン)。シングルマザーでなおかつ2人の子どもの父親が違うということで周囲は彼女に冷たい視線を投げかける。そんなジョージーが自分一人の手で子どもたちを養うために選んだ仕事は鉱山労働者。決して楽な仕事ではないと覚悟していたジョージーではあったが、何より彼女を困惑させたのは、同僚のほとんどを占める男性たちからの露骨で悪質な嫌がらせの数々だった…。


シャーリーズ・セロン とフランシス・マクドーマンドが、主要な映画祭の演技賞にノミネートされただけで、作品はあまり面白みの無い映画になってしまったんではないかなぁと、少し心配していました。
ところが見始めると面白くて止まらずに、半分だけ見るつもりが一気に全部見てしまいました、もっと退屈な映画かと思っていましたが、とても面白い訴訟映画になっていました。
まず主演のシャーリーズ・セロン。
インタビュー番組でも言っていましたが、その”美しすぎる顔”が邪魔になっていると言っていました、同じような役しかこないと嘆いていました。
あれだけ美しい顔だからしょうがないかなとも思いました、この映画も一種の彼女なりの”反撃”なのかなと考えていました。
ところがこの「スタンドアップ」の彼女を見てその考えはあさはかだったと思いました、やっぱりシャーリーズ・セロンの演技は素晴らしかったし上手かったです、『モンスター』での演技に勝るとも劣らないものでした。やっぱりその美しさと気高さは変わりませんでしたが、素晴らしかったと思いました。
そしてフランシス・マクドーマンド、いつどの映画を見ても手抜きしないで頑張っている彼女ですが、この「スタンド・アップ」では”迫力”のようなものも感じました。
やっぱり彼女も上手でしたね、”グローリー”の役どころはピッタリだと思いましたが、映画終盤のグローリーも見事でした。
母親役のシシー・スペイセクや、堅物な父親を演じるリチャード・ジェンキンズの名演も良かったです、仕事仲間のシェリーを演じたミシェル・モナハンや息子サミー役のトーマス・カーティス もよかったです。
ウディ・ハレルソンの”弁護士役”にはビックリしました、彼に勤まるのかとハラハラしましたが、ナカナカ上手でしたよ。ホッケー上がりの弁護士を爽やかに演じてました、少し不器用っぽく見えるところがいいんでしょうね。
そして ”悪人顔大魔王”のショーン・ビーン、こんな役柄の彼を見てみたいと思い始めてはや何年かな??こんなショーン・ビーンを待っていました、この「スタンド・アップ」でのグローリーの旦那役のカイルは、彼のキャリアでも「最高・最良」の役柄でしょう、素晴らしかったです。
もっと”悪人顔大魔王”のショーン・ビーンに、こういった役をやらせるといいと思います、顔が恐いだけにギャップも凄いし演技力も凄かったです。とにかくショーン・ビーンは素晴らしくカッコ良かったです、最高に雰囲気も良かったです。
邦題の”スタンドアップ”のように、ジョージーの勇気ある行動に一人一人が”スタンドアップ”していく、原題の「North Countory」よりもこの映画の主題が伝わっていくように感じます、”スタンドアップ”は最高の題名だと思いました。
ラストが少しうやむやな感じに思えますが、これは法廷や裁判なんかが伝えたい事ではないでしょ、一人の勇気ある女性のために皆が”スタンドアップ”していく映画だから、終わりはあんな感じでいいと思います。
若い頃のジョージーを演じた娘、名前調べたけど分からなかったです、dvd買って見直してみよう。
「エリン・ブロコビッチ」のように痛快な楽しみもあります、あの作品ほどコメディ色は強くは無かったですが、繰り返し見たい良質なドラマに出来上がってました、お勧めします。
僕もDVD、買いたいと思いました!!