 | カンヌ国際映画祭で、大賞のパルムドールを受賞した『ロゼッタ』の監督、ジャン=ピエール・ダルデンヌ とリュック・ダルデンヌ のダルデンヌ兄弟。 リアリズムに徹したドキュメンタリー・タッチの映像は、まるでドキュメンタリーを見ているような錯覚を覚えた。この監督の手法は『ロゼッタ』や『息子のまなざし』、そしてこの作品の『ある子供』にも続いていますね。 主人公ブリュノは、精神年齢は子どものままで大きくなった青年です、僕みたいですね。責任感も明日の希望もなく、毎日を好きなように生きている。大人になれない若者の問題は、実は欧米先進国では80年代から問題になっているそうなんですね。日本でも”ニート”なんて呼ばれてますね、働かないよりはマシなのかな? タイトルの『ある子供』とはブリュノの子供の事ですが、ブリュノ自身の事でもあるように感じました。 大人になることはどういうことなのか、考えさせられる作品でしたね。
定職につかず、少年たちを使って盗みを働き、盗品を売ってその日暮らしをしている20歳の青年ブリュノ(ジェレミー・レニエ )。ある日、ブリュノの子どもを出産した18歳の恋人ソニア(デボラ・フランソワ )が病院から退院してくる。子どもを見ても何の実感も感じないブリュノ。盗品を売った金でドライブに行ったブリュノとソニアは、まるで子どものようにじゃれあう。しかしブリュノはソニアに子どもの世話を頼まれた間に、カメラを売るように子どもを売ってしまう・・・・。
本当にダルデンヌ兄弟が作り出す映像は、独特ですよね、ドキュメンタリーのようなリアルな感じがします。 あのリアルな映像は、『ロゼッタ』や『息子のまなざし』と同じでしたね、使っている役者さん達も、”黒澤組”や”デミ組”といった感じで一緒でしたね。 主人公のブリュレは、あまり深く考えずに自分の子供を闇市場にうってしまいますが、本当にブリュノ役のジェレミー・レニエ はそんな感じがしてていいです。 ブリュノが色々な事を経験していきながら大人になっていく様が、淡々と描かれています、流石「ダルデンヌ兄弟が作り出す映像」と思わせてくれます。 ダルデンヌ兄弟の作品は、暖かいその後を感じられるラストがとても好きです、『ロゼッタ』や『息子のまなざし』のように。 この「ある子供」もそんなラストで終ってくれました、心地よい余韻の残ったいいラストだと思います、お勧めします。
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