 | 数々のシェイクスピア劇が映画化される中、日本でも人気の高い「ヴェニスの商人」が、英語圏で本格的に映画化されたことがなかったのは驚きでした。ボクも昔読んだ覚えがあります、でも映画を見ていてあんまり思い出せなかったってことは、見ていないことと同じかもしれません。 シャイロックを演じたアル・パチーノは、その並外れた演技力をとくと見せ付けており、悲哀と滑稽さ、怒りと狂気のすべてをさらけ出しています。「インサイダー」や「エニイ・ギセブン・サンデー」のアル・パチーノも迫力あったけど、こんなに迫力を感じたのは、「ゴッド・ファーザー」以来かもしれません。 バッサーニオを演じるのは、『恋におちたシェイクスピア』で若きシェイクスピアを演じたジョセフ・ファインズ。「レオポルド・ブルームへの手紙」のところでも言いましたが、レイフ・ファインズの弟という形容詞はいらなくなりましたね。 アントーニオには、数々のシェイクスピア作品で舞台を踏んだジェレミー・アイアンズ。彼顔が暗いけどハンサムですよね、「運命の逆転」みたいな、素晴らしい悪役の彼を、また見てみたいです。 また、グラシアーノというパッサーニオの友達に、「ラブ・アクチュアリー」のコリン・フリッセルのクリス・マーシャルが出てました。、 監督を務めたのは、『イル・ポスティーノ』のマイケル・ラドフォード。ユダヤ人への不信と憎しみに渦巻くオープニングから、緊張感あふれる裁判シーン、可笑しみを残しつつ辛辣なエンディングまで、なかなか開きさせることなく魅せてくれています。
16世紀のヴェニス。ゲットーに隔離されたユダヤ人たちは、金貸し業を営み、キリスト教徒から蔑まれて暮らしていた。ある日、若きバッサーニオ(ジョセフ・ファインズ)は、美しい遺産相続人のポーシャ(リン・コリンズ)に求婚するため、親友のアントーニオ(ジェレミー・アイアンズ)に借金を頼む。全財産を船で輸送中のアントーニオは、ユダヤ人のシャイロック(アル・パチーノ)を紹介するが、シャイロックは、無利子で金を貸す代わりに、3ヶ月以内に返済できなければアントーニオの肉を1ポンドもらう、と申し出る…。
アントーニオの肉を1ポンドにこだわるシャイロックも凄い執念ですね、それを受けようとするアントーニオの友情も美しかったです。パッサーニオとポーシャには、あまり執念も友情も感じなかったかな。 ユダヤ教=悪でキリスト教=前というのは、少々短絡的過ぎると思ったけど、あれでも原作よりは大分和らいでいるらしい。ホント宗教はやっかいですよね、本当の神様だったら、「ベイベー、俺だけを信じれば救われるぜ」なんていわないっつうの。 最後のポーシャとパッサーニオの指輪のシーンは余計だと思ったけど、人間のあさはかさを表すためには必要だったかな? ラストにたたずむシャイロック=アル・パチーノの姿は印象的でした。 あなたはどう感じましたか、お勧めします、原作知らなくても楽しめますよ。 |