 | 1950年のイギリスを舞台に、望まない妊娠をしてしまった女性のために、秘かに中絶を手助けしてきた一人の平凡な主婦が辿る過酷な運命と、試練の中で浮かび上がる家族の深い絆を丁寧な筆致で描いた感動の人生ドラマです。 この作品、普通のこの手のドラマと決定的に違うのは、これを"家族の問題"として魅せてくれたことだと思います、僕も思わず入り込んでしまいました。流石マイキク・リー監督。 主演は「恋におちたシェイクスピア」のイメルダ・スタウントン、彼女はこの演技でオスカーにもノミネートされましたね。凄くいい演技だったと思います。監督は「秘密と嘘」「人生は、時々晴れ」のマイク・リー。彼も監督賞にノミネートされたし、ヴェネチア国際映画祭では金獅子賞と主演女優賞の2冠に輝いたんですよね。事前に詳細な台本を用意せず、即興的なリハーサルの積み重ねから演技を固めていく、マイク・リー監督独特の演出方法がその効果を遺憾なく発揮し、主演のスタウントンはじめ俳優たちは迫真の演技を披露、各方面から絶賛されました。 1950年、冬のロンドン。自動車修理工場で働く夫とかけがえのない2人の子どもたちと貧しいながらも充実した毎日を送る主婦ヴェラ・ドレイク(イメルダ・スタウントン)。家政婦として働くかたわら、近所で困っている人がいると、自ら進んで身の回りの世話をする毎日。ほがらかで心優しい彼女の存在はいつも周囲を明るく和ませていた。しかし、そんな彼女には家族にも打ち明けたことのないある秘密があった。彼女は望まない妊娠で困っている女性たちに、堕胎の手助けをしていたのだった。それが、当時の法律では決して許されない行為と知りながら…。
この作品は侮っていました、「サイダーハウス・ルール」なんかも堕胎のことをメインに扱っていますが、これだけ法廷のドラマになっていても法廷シーンも少なく、徹底的に家族の結びつきに絞って話を展開させて行くことに好感がもてました。 家族に知られまいとするヴェラと、必死にヴェラを守ろうとする夫。彼女の行為に戸惑う子供達や親戚達。 彼等家族の姿が、人間の自然な姿や感情に思えて、見ているこちらにも伝わってくるようです。 最初から最後まで、同じテンションで描かれているのも見事、お勧めします。 |