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「つみきのいえ」をお勧めします。

「つみきのいえ」をお勧めします。

画像:tsumikinoied8.jpg説明
第81回アカデミー賞で、受賞した加藤監督がオスカー像を受け取った壇上、「どうもありがとう、ミスター・ロボット」(自身が所属する会社《ROBOT》と米国のロック・バンド、スティクスのヒット曲「ミスター・ロボット」の歌詞をかけたジョーク)で笑いを誘ったのも話題に。何と加藤監督自身が約1年間をかけて全原画を鉛筆で描いたという労作。物語や演出、音楽に豊かな抒情がこめられ、短編アニメながら深い感動がある傑作となった。加藤監督が先がけて発表した他の作品、「或る旅人の日記」「或る旅人の日記 赤い実」も必見だ。



海面が上昇し続け、多くの建物が水没した世界。おじいさんがひとり暮らしをしているのは、海面が上昇する度におじいさんが屋上に部屋を作り足してそこに移り住み、まるで縦に長い積み木のようになった家。ある日お気に入りのパイプを下の部屋に落としてしまったおじいさんは、潜水服を手に入れて下の部屋に潜る。そこでおばあさんがまだ生きていた頃を思い出したおじいさんはさらに下の階へと潜っていき、自分の人生を振り返る・・・。



2008年度アカデミー賞短編アニメ賞を受賞したハートウォーミング作品です、CGやVFX多用の現代においてあえて鉛筆タッチを生かした画調で柔らかく仕上げていました、監督はテレビやCMなどで活躍していてオスカー授賞式でも笑いを誘った加藤久仁生でした。

海面の水位がどんどんと上昇してしまい、その世界で住むおじいさんは家を上へ上へと増築していきます。
お気に入りのパイプを落としそれを拾いに潜るうちに、以前一緒に住んでいた家族のことを思い出して・・・。


『シンプル・イズ・ベスト』、そんな言葉がこの映画を観てまず最初に浮かんできました、ご存知昨年日本の『おくりびと』と一緒にアカデミー賞の短編アニメーション部門の賞を穫り、話題とともに“日本映画の一大ブーム”を生んだ作品です。

物語は実にシンプルでたった13分間のアニメーション映画でセリフは一切無し、年老いたおじいさんが温暖化によって日々水没して行く世界でひたすら届けられるレンガを、毎日つみきのように積み上げて家を作り上げて行くお話しです、でも見ているウチに段々と切ない気持ちになり郷愁を誘れました。

ある日お気に入りのパイプを水の中に落としてそれを拾うために水の中に潜るんですが、そこには大切だった妻や娘の思い出の品が沢山ありそしてお爺さんの頭には、数々の大切な思い出がよぎっていきます。

それは昔病気の奥さんを看病したベッドから始まり、お嫁さんに行った娘さんや娘が旦那さんとなる彼を連れてきたこと、そして孫のことやお爺さんである自分とお婆さんである女性と初めて出会い恋に落ちる場面へと移っていきます。

この場面を見ているだけでこの老人のこれまでの生きてきた人生の道のりや、幾多の困難や些細だけど幸せな日々があったことが分かりますが、それをこれほどまでに短いですが印象的・感傷的に描ききったのはお見事としか言いようがありませんでした。

加藤監督の他の作品もまとめて見ましたが、チャップリンの昔の映画みたいな手法を取っていてどの作品もシュールではあるけれど、どの作品もストーリーがあってとても温かみがあって魅力的でした。

環境問題を扱ったり『おくりびと』のように“死生観”を扱っていて、色々と考えさせてくれる作品でした、ラストにお爺さんが独りで食事をして今はいない向かいの席のグラスに○○するシーンのラストは秀逸、アカデミー賞受賞作の名に恥じないデキでした、お勧めします。