 | 「ある愛の風景」や「アフター・ウェディング」で国際的な注目を浴びたデンマークの女性監督スサンネ・ビアが、いよいよ本作でハリウッドに進出。「チョコレート」で黒人史上初のアカデミー主演女優賞に輝いたハル・ベリーと、「チェ」2部作で第61回カンヌ国際映画祭男優賞を受賞したベニチオ・デル・トロという2人の実力派スターが主役で顔を揃え、深い悲しみと心の喪失感を乗り越えて人生に再び希望を見出していくまでの振幅の激しいドラマを、確かな演技力でダイナミックに演じ、観る者の心を深く揺さぶらずにはおかない。
夫のブライアンと2人の子供に囲まれ、幸せで平和な家庭生活を送っていたオードリー。ところがある日、愛する夫が路上で死傷事件に巻き込まれ、突然この世を去ってしまう。葬儀の準備に追われる中、オードリーは亡き夫の親友ジェリーの存在を不意に思い出す。かつては有能な弁護士でありながら、ドラッグですっかり身を持ち崩し、いまやどん底の生活を送る彼を、幼馴染みの仲のブライアンだけが親身に面倒を見ていたのだった…。
「ある愛の風景」「アフター・ウェディング」のデンマークの俊英スサンネ・ビア監督が、ハリウッドに招かれ初めて英語で撮り上げた喪失と再生の物語です、突然の悲劇で最愛の夫を失った女性が夫の親友を心の支えに、立ち直ろうとする過程で繰り広げられる葛藤と男女の心の機微を繊細に描き出していました。
愛する夫デヴィッド・ドゥカヴニー演じるブライアンと2人の子どもと暮らすハル・ベリー演じるオードリー、ある日ブライアンが路上で射殺され葬儀の当日オードリーはブライアンの親友ベニチオ・デル・トロ演じるジェリーを思い出す。 弁護士だったジェリーはヘロインに溺れて転落し誰もが離れていく中、ブライアンだけは見放すことなく面倒を見てきたジェリーを疎ましかったオードリーでしたが、彼がブライアンのことを誰よりも理解していることを知り親近感を持ち始める。 喪失感に苛まれる日々に苦しむオードリーは、その日暮らしのジェリーにしばらく自分の家で一緒に暮らしてほしいと申し出る・・・。 最愛の夫デヴィッド・ドゥカヴニー演じるブライアンを突然失い悲嘆にくれる妻ハル・ベリー演じるオードリーと、その亡き夫の旧友で今やドラッグで身を持ち崩した男ベニチオ・デル・トロ演じるジェリー、そんな2人の公正と再生のドラマを暖かい眼差しで描いた感動作でした。
しかしベニチオ・デル・トロもハル・ベリーもオスカー経験者だけあって滅茶苦茶演技が上手でしたね、ちょっと大人になっていてびっくりしましたがアリソン・ローマンも上手に麻薬中毒者の集会に通うケリーを好演してました、それに引っ張られるように“モルダー捜査官”の印象がまだ強いデヴィッド・ドゥカヴニーも“いい男ブライアン”を熱演してましたね。
最愛の夫の突然の死を受け入れられない妻であり母のオードリーと、弁護士だったが転落していった自分を見捨てなかった唯一の親友で幼なじみの麻薬中毒者ジェリー、2人が再会してブライアンの死から立ち直っていく過程を丁寧に優しい目線で描き出した秀作だと思います、この主役2人の演技を見ているだけでお腹いっぱいの映画でした。
とにかくベニチオ・デル・トロやハル・ベリーの演技と彼の佇まいや醸し出している雰囲気、彼等を支える家族や友人たちの姿を見るだけでも一見の価値はあります、彼はジャンキーを演じることも多いですがここでも目に強力な“狂気”を秘めたジャンキーを鬼気迫る演技で熱演、迫力満点だったし僕はジャンキーにはなったことありませんがあんな感じなんだろうなと思わせてくれました。
ジェリーがあることをきっかけにオードリーや子供たちの家を出ることになり、ブライアンの仕事仲間で友達のハワードの後押しもあり住宅仲介業の資格試験も合格、ジェリーの人生は変わるかに思えましたがそこからドラマはまた変わって行ってまた展開が変わって行きます。
なかなか面白かった映画でした、2人の再生の過程と気持ちの変化を描いた秀作でした、ハル・ベリーとベニチオ・デル・トロにアリソン・ローマンやデヴィッド・ドゥカヴニーの演技の応酬もお見事、お勧めします。
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