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「12人の怒れる男」をお勧めします。

不可能だと思いましたが、とても立派なリメイクでした。

画像:jyunininnoikare.jpg説明
殺人容疑をかけられた1人の少年の裁判をめぐって12人の陪審員たちが討議を繰り広げるうち、当初は有罪確実と思われていた少年の運命が次第に無罪の側へと傾いていく。そうしたオリジナル版の基本的な設定は踏襲しつつも、ニキータ・ミハルコフ監督は今回、物語の舞台を現代のロシアに移植することによって、経済至上主義がはびこり、モラルの崩壊化が進むロシアの現状も鋭く浮き彫りにし、より陰影の深い重層的なドラマに仕立て上げた。アカデミー賞で外国語映画賞にノミネート。



ロシア軍将校である養父を殺害した罪に問われた1人のチェチェン人の少年の審理も終局を迎え、いよいよあとは12人の陪審員たちによる評決が出るのを待つばかり。少年の有罪は一見動かしがたく、さっさと全員一致で有罪の評決を出してけりをつけようという空気が場を支配する中、1人の陪審員が、少年の今後の運命を決するにあたって、我々ももう少し真剣に議論する必要があると言い出し、次第に白熱した討議が展開されていく・・・・。



シドニー・ルメット監督による不朽の名作「十二人の怒れる男」を、ロシアの名匠ニキータ・ミハルコフ監督が現代のロシアに置き換えてリメイクした緊迫の法廷ヒューマン・サスペンスでした、有罪確実と思われた裁判の評決を巡り思いがけず議論白熱となる12人の陪審員の姿を通して、人を裁くことの難しさや現代ロシアが抱える様々な社会問題を描き出していました。

ロシアのとある裁判所で世間の耳目を集めたひとつの殺人事件が裁かれていた、被告人はチェチェンの少年で養父であるロシア軍将校を殺害し検察は最高刑に当たる終身刑を求刑。
3日間の審理も終わり残すは12人の陪審員による評決を待つばかりとなりいくつもの状況証拠から、有罪は誰の目にも明らかと思われたが陪審員たちの中にも簡単に済ませてしまおうとの空気が流れ直ちに挙手による投票が行われた。
しかし11人が有罪に手を挙げる中ただひとり、陪審員1番の男だけが遠慮気味に無罪に1票を投じる、有罪票を投じた男たちは陪審員1番の思いがけない行動に不快感を露わにするが・・・。

シドニー・ルメット監督が1957年に発表した名作「十二人の怒れる男」を、ロシアの名匠ニキータ・ミハルコフが物語の舞台を現代のロシアに移しかえてリメイクした白熱の対話劇でした、オリジナルのシドニー・ルメット監督の「十二人の怒れる男」はハリウッドや世界中の映画史に燦然と輝く名作ですし僕もDVDを持っていますが、それが三谷幸喜監督の『12人の優しい日本人』にも生まれ変わり現代の『裁判員制度』を日本の“裁判員制度”の勉強にもなりました。

今までも何度かドラマや舞台でリメイクされていますがこの映画のリメイクは無いと思っていました、もしリメイクされたたとしてもルメット版を越えるなんてことはないだろうと思っていたくらいルット作品は完璧でした、しかしこのニキータ・ミハルコフ監督のロシア版リメイクもかなり素晴らしい作品に仕上がっていました、しかもルメット版とはまったく違った意味でこれも史上に残る傑作を作り出していました。

大まかな内容はルメット監督の作品と同じでしたが皆が言うほどオリジナルと違わないと思ってました、しかし見ていくうちに借りたのは構造だけでこちらは現代のロシアの持つ問題をつけ加えて人種問題や差別問題などを大胆に味付けし、なかなか見事なエンターテイメントとして映画にしてくれていたなぁと思いました。

ひとりの陪審員の男が有罪支持をしなかったために長い審議に入っていくという展開も同じでした、陪審員の部屋が改築中なので審議は小学校の体育館で行われることになりますがこの舞台設定も展開のひとつの道具に上手に使われていました、フラッシュ・バックやタイトルバックで挿入されている階段を駈け降りる足のカットと、チェチェンの戦いの中で戦車の陰から走り出てくる犬のショットがラストに効いてきます、この「12人の怒れる男」はオリジナルのルメット版を超えることは出来ませんでしたが素晴らしい作品でした、お勧めします。