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「イントゥ・ザ・ワイルド」をお勧めします。

まさに『イントゥ・ザ・ワイルド』、素晴らしい映像美でした。

画像:IntotheWild65.jpg説明
裕福な家庭に生まれ育ち明るい将来を約束されながら、その生き方に疑問を抱き家庭も社会もすべてねげうって1人アラスカの荒野に立ち向かった末、孤独な最期を遂げた青年クリス。そんな実話を書きつづったジョン・クラカワーのベストセラー・ノンフィクション「荒野へ」に心打たれたペンが、10年近い歳月をかけて映画化を実現させた作品です。主人公に共感するペンの思いが、映画の全編を通してストレートに伝わってきます、熱い感動作に仕上がっていました。
主人公の青年を好演するのは、その後「ミルク」でもショーン・ペンと共演するエミール・ハーシュ。ジェナ・マローンにマーシャ・ゲイ・ハーデン、ウィリアム・ハートらが家族を務めるほか、キャサリン・キーナーやヴィンス・ヴォーンにクリステン・スチュワートら共演と豪華です。


1990年夏、ジョージア州の大学を優秀な成績で卒業した22才の青年クリス(エミール・ハーシュ)。ハーバード大のロースクールへの進学も決まり、明るい将来が約束されていた彼だったが、ある日彼は家族や周囲に何も告げることなく、自分の全財産を慈善団体に寄付して無一文となると、アラスカへ向けて放浪の旅に出る。道中、さまざまな人々と出会いや別れを繰り返し、得難い人生経験を積み重ねた末、クリスはたった1人でアラスカの荒野へと分け入り……。



若さゆえの生真面目さで自らの心と向き合い過酷なアラスカの大自然に立ち向かっていった、一人の青年の姿を追ったジョン・クラカワーのベストセラー・ノンフィクション『荒野へ』を、オスカー俳優ショーン・ペンがメガフォンをとり映画化した作品でした。

1990年夏、ジョージア州の大学を優秀な成績で卒業した22歳の青年エミール・ハーシュ演じるクリス・マッカンドレス、卒業祝いに新車を買ってあげるという両親の申し出をあっさり断った彼は通帳にあった預金全額を慈善団体に寄付し、家族に何も告げずに文字どおり無一文でアラスカへ向けて旅に出る。
道中様々な出会いと経験を重ねたクリスは彼の無鉄砲を諫めてくれる陽気な兄貴分ヴィンス・ヴォーン演じるウェインと親交を深め、スラブスではヒッピーなどアウトサイダーたちが集うコミューンに身を寄せ、そこで美しい少女クリステン・スチュワート演じるトレイシーと出会う。
彼女はクリスに好意を抱きクリスにも恋心が芽生えたかに思われたが、その頃残された家族は音信不通の息子の身を案じ祈る思いで彼の帰りを待つのだった・・・。

恵まれた境遇にありながらも繊細な感受性ゆえに満たされずにいた青年が突然すべてを捨てて、ヒッチハイクでアメリカを縦断しながら様々な人々との出会いを経て最後は徒歩でアラスカの荒野へと分け入り、その4ヵ月後に餓死した死体となって発見されるまでの心の軌跡を静かに見つめていきます、あの“またロビン・ライトに離婚訴訟を起こされた男”ショーン・ペン監督の「イントゥ・ザ・ワイルド」は素晴らしい作品になっていました。

主役のクリス役のエミール・ハーシュも『ガール・ネクスト・ドア』で初めて見た時には「甘いマスクしてるけどパッとしない俳優」だった印象が、『スピード・レーサー』やこの『イントゥ・ザ・ワイルド』ではガラッと変わって堂々としていて目の輝きが素晴らしい役者になってました、トルストイやソローといった作家を愛し物質社会を嫌い時にはお金に火を付けて燃やします、主人公の荒野で生きていこうとしたクリスが“死ぬ”という結果が分かってしまっているのにストーリーにグイグイと引き込まれます、やがてクリスの放浪の旅の原因はストーリー・テラーの妹カリーンを通して両親にあることが分かってきます。

両親ウォルトとビリーを演じたオスカー経験者のウィリアム・ハートにマーシャ・ゲイ・ハーデンや、ジェナ・マローン演じた妹のカリーンも素晴らしかったし旅の途中で出会うキャスリン・キーナーやヴィンス・ヴォーンに、そして何時も“可愛らしい”だけに見えたクリステン・スチュワートもこの映画では素晴らしい目をしていました、“頑固でケツの重い老人”ロン・フランツさんとのやり取りも面白かったですしロンの決意とそれを優しく受け止めたクリスも良かった。

ジャーナリストで著名な登山家であるジョン・クラカワーが書いた“荒野へ”を、10年の月日をかけてペンは映画化権を手に入れた作品らしいですがそれから数年の時間をかけて完成させたのが「イントゥ・ザ・ワイルド」だそうです、クラカワーはこのクリスが何故死体で発見されたのかを追跡調査しそれを基に発表されたのが“荒野へ”、ペンはクリスの旅の軌跡を克明に追いますがジョージア州アトランタのエモリー大学を優秀な成績で卒業したクリスは、親の期待を裏切り“家族・家庭”というものを捨て名前まで変えてアラスカの荒野を目指したのかを描いていきます。

“不思議なバス”での生活とそこに至るまでの生活が折り重なるようにして描かれますが、2年間の放浪の旅が丁寧にインサートされ“死”という完結を承知でペンはクリスの辿った大自然を追いかけます、そのアラスカや大自然の映像は素晴らしくクリスが望んだ大自然の中の“孤独”を映画は味あわせてくれます。

人間も自然の一部であることを改めて強烈に感じながら荒野で生きるクリスの孤独、それでも『荒野』で独りきりでシンプルに強く生きて行こうとするクリスの姿は感動すら覚えます、これでペンはロビン・ライトとの離婚調停中に他の女性とデートしたりしなければ素晴らしい映画人ですね、お勧めします。