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「アウェイ・フロム・ハー 君を想う」をお勧めします。

サラ・ポーリー、若いのに素晴らしい才能の持ち主です。

画像:AwayfromHerL.jpg説明
「あなたになら言える秘密のこと」などの繊細な演技で知られる若手実力派女優サラ・ポーリーが、同じカナダの人気作家アリス・マンローの小説をもとに、本作で長編監督デビューを果たしました。
長年連れ添ってきた老夫婦を見舞うつらい現実と、その厳しい人生の試練に直面してなお一層お互いの絆を確かめ合う2人の絆の尊さを、安易な感傷を排した透徹した眼差しで静かに見つめ、心揺さぶる感動の秀作に仕立て上げました。往年の人気女優ジュリー・クリスティの好演も広く賞賛を集め、アカデミー賞こそ逃したものの、数多くの主演女優賞に輝きました。


 元大学教授のグラント(ゴードン・ピンセント)と、その教え子の1人でいまや彼と連れ添って44年になる妻のフィオーナ(ジュリー・クリスティ)。長年苦楽を共にしてきた2人だが、最近フィオーナの物忘れが急速に進むようになり、医者からアルツハイマーと診断された彼女は、自らの意思で老人介護施設へ入所することを決意。施設の規則で、入所当初の30日間の隔離期間を経てようやくフィオーナとの面会を許されたグラントは、すっかり別人のようになった妻の姿に愕然となる…。



「死ぬまでにしたい10のこと」「あなたになら言える秘密のこと」の実力派女優サラ・ポーリーが、弱冠27歳にして記念すべき長編映画監督デビューを飾った感動ヒューマン・ドラマです、原作はアリス・マンローの短編『クマが山を越えてきた』。

結婚して44年になるゴードン・ピンセント演じるグラントとジュリー・クリスティ演じるフィオーナ、いまは互いを深く愛しあって仲良く穏やかな日々だがフィオーナをアルツハイマー型認知症にかかり、物忘れが激しくなったフィオーナはついに自ら老人介護施設への入所を決断。
施設の規則で入所後30日間面会を許されなかったグラントはようやく訪れた面会の時、フィオーナはグラントを覚えていないばかりか彼の前で車椅子の男性マイケル・マーフィ演じるオーブリーに対し親しげな振る舞いを見せる、その後も日増しに深まっていく2人の仲を目の当たりにして戸惑うグラントだったが・・・。


認知症という悲劇に直面した老夫婦の心の葛藤と深い愛を静かに見つめるていました、認知症の妻を演じたジュリー・クリスティには多くの賞賛が寄せられゴールデングローブ賞主演女優賞をはじめ数々の映画賞を受賞しました、このジュリー・クリスティは若い頃に『ダーリング』という映画でオスカーを獲得していますが演技も上手かったしメチャメチャ綺麗でした、共演の旦那さんを演じたゴードン・ピンセントも素晴らしかったしオーブリーの妻マリアンを演じたオリンピア・デュカキスも良かったです、施設の女性看護師クリスティとグラントのやり取りに若い面会の女の子との何気ない触れ合いも素晴らしい。

自分が介護される身体ですし祖母が老人介護施設にいるセイもあってかこうした題材の映画には惹かれてしまいます、アルツハイマーを題材にした映画は「アイリス」などの良質なものがすでにありますがこの「アウェイ・フロム・ハー/君を想う」も素晴らしかった、「あなたになら言える秘密のこと」「ドーン・オブ・ザ・デッド」の主演女優サラ・ポーリーが初の脚本・監督をしたというのも驚きでした、マリオン・コティヤールがオスカーを獲得したので喜んでましたがやはりジュリー・クリスティの演技は素晴らしかったです。

はじめは入居に反対していグラントも妻フィオーナの『なんとしても入居する』という固い意志に負けます、しかし1ヶ月ぶりに再会したフィオーナはグラントがいったい誰なのか分からずマリアンの夫で入居者のオーブリーを愛していました、どんなに深く愛し合っていても“アルツハイマー”や“老人介護施設”は冷酷なくらい人生を変えてしまうもの、忘れていく妻フィオーナの方もツライけど正気でいる夫グラントにとっても哀しい現実ですよね。

『忘却も甘味に思える時もある』や『好きなものばかり求めちゃいけないわ、それじゃ何も見つからない』、『妻フィオーナは私を知らないというシャレード(芝居)をして、私を罰しているのではないか』など名セリフ・名言の沢山ある映画でもありました。

途中までは良かったのにファンタジーに逃げてしまった『私の頭の中の消しゴム』とは、ちょっとレベルが違った素晴らしいデキだったと思います、ラストも小さな奇跡と引きずらない爽やかな雪上のカットで素晴らしい作品に仕上がっていました、お勧めします。