 | 流浪の詩人、時代の声を代弁するフォーク歌手、はたまたロックの革命児と幾度も変貌をとげデビューからほぼ半世紀を経た今もなお、強烈なカリスマ性を放ち続けるボブ・ディラン。「エデンより彼方に」のトッド・ヘインズ監督が、パートカラーを駆使するなど従来の音楽伝記映画と一線を画す斬新な手法で、現代のポップ・イコンの多面的魅力に迫った意欲作がこの作品でした。主人公の6つの異なる顔をそれぞれ演じるのは、女優なのに男性のディラン役に挑んでアカデミー助演女優賞候補になったケイト・ブランシェット、「ダークナイト」のヒース・レジャーに、ほかリチャード・ギアやクリスチャン・ベール。
1959年、ギターケースを抱えて貨物列車に飛び乗り、放浪の旅に出た黒人少年ウディ(マーカス・カール・フランクリン)。1960年代前半、NYのグリニッチ・ヴィレッジに忽然と現れ、社会派フォークの世界に新風を吹き込むことになったジャック(クリスチャン・ベール)。1965年、フォークの世界から訣別してロックの革命児へと変貌を遂げ、従来のファンから「裏切り者!」と罵声を浴びることになったジュード(ケイト・ブランシェット)、等々、それぞれ役名の異なる6人の主人公が登場し、6つのドラマを繰り広げる。
「エデンより彼方に」「ベルベット・ゴールドマイン」のトッド・ヘインズ監督が、アメリカ音楽シーンの生ける伝説ボブ・ディランの激動の半生を映画化した音楽伝記ドラマです、ボブ・ディランのさまざまな側面をフィーチャーした6人のディランが登場します。
詩人のランボーに傾倒する青年がプロテスト・ソングを止めた理由を問われたり、ウディ・ガスリーに憧れる黒人少年マーカス・カール・フランクリン演じるウディが放浪の末にブルース・シンガーの家に転がり込む。 その他プロテスト・フォークの世界で時代の寵児となる新人シンガークリスチャン・ベール演じるジャック、仕事の成功と裏腹に結婚生活で破綻を迎える映画スターのヒース・レジャーが演じるロビー・クラーク、フォーク・ソングと決別し罵声を浴びるロックスターケイト・ブランシェット演じるジュード、田舎で隠遁生活を送るアウトローのリチャード・ギア演じるビリーといった様々な人格のボブ・ディランが登場して多面性と波乱に富んだ人生が描かれていきます・・・。
それぞれクリスチャン・ベールにヒース・レジャー、リチャード・ギアにケイト・ブランシェットら6人の俳優たちが演じ分ける実験的なスタイルが話題になりました、僕はあまりボブ・ディランに詳しくないから良く分からない部分もありましたが知らなくても十分楽しめる内容でした。
同役に女優で唯一キャスティングされたケイト・ブランシェットがヴェネチア国際映画祭で女優賞を獲得し、オスカーでも男のボブ・ディランを演じたのに最優秀助演女優賞にノミネートされていましたね、他にもヒース・レジャー演じるロビー・クラークの恋人で妻のクレアをシャーロット・ゲンズブールが熱演していたり、ジュリアン・ムーアもボブ・ディランでは無かったですがジャックの友達を好演していました。
しかしケイト・ブランシェット演じるジュード・クイン(ボブ・ディラン)はモノクロの画面も効をそうしましたのでしょうが、見ていて全く女性という感じはしなかったですし凄くボブ・ディランに似ていて彼になりきっていて素晴らしかったです、声も男性の声でビックリしましたし細かい仕草や話し方までもなりきっていてオスカーを上げたいくらいの熱演でした。
あとなかなか評価されないですがリチャード・ギアのアウトローの演技も良かったです、あの年齢になれば大体皆出せる渋みなのでしょうがやっぱりギアは抜群にカッコ良かったです、個人的にはヒース・レジャーとシャルロット・ゲンズブールのお話しとケイト・ブランシェットのお話しが好きでした、ボブ・ディランが大好きならもっと楽しめると思います、お勧めします。
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