 | 「ノーカントリー」で第80回アカデミー賞の作品・監督賞など主要計4部門を制覇、今やハリウッドの頂点に立つコーエン兄弟が、1984年に僅か150万ドルの低予算で作りあげ一躍その才能を広く世間に知らしめた衝撃のデビュー作「ブラッドシンプル」。 この出世作を、15年後の1999年に本人たちが再編集し、よりスリリングにバージョンアップしたのが「ブラッドシンプル/ザ・スリラー」です。その後の彼らの活躍を知った目で見直すと、多くの共通点が発見できるファン必見の作品です。
テキサスの田舎町。古びたバーの主人マーティ(ダン・ヘダヤ)は、私立探偵のヴィッサー(M・エメット・ウォルシュ)に妻アビーの浮気調査を依頼。アビー(フランシス・マクドーマンド)がバーテンのレイ(ジョン・ゲッツ)と不倫を働いている証拠をおさえたヴィッサーに対し、マーティは引き続いて2人を殺害するよう命じるが、ヴィッサーは逆に偽装工作をした上でマーティを殺害し、金を奪って逃走。マーティの死体を発見したレイは、すっかりアビーが夫を殺したものと勘違いし、死体をひそかに始末しようと試みるのだが……。
後に「ノーカントリー」でアカデミー作品賞を制する鬼才、ジョエル(監督・共同脚本)&イーサン(製作・共同脚本)のコーエン兄弟のデビュー作「ブラッド・シンプル」を、15年の歳月を経て彼ら自身の手で再編集したハードボイルド・タッチに新たに磨き直した話題の再編集版スリラーです。
テキサスの田舎町が舞台。酒屋の主人ダン・ヘダヤ演じるジュリアン・マーティがM・エメット・ウォルシュ演じる私立探偵ヴィッサーに従業員ジョン・ゲッツ演じるレイと、浮気中の妻フランシス・マクドーマンド演じるアビーの殺害を依頼するが探偵は裏切りジュリアン・マーティを殺し金を奪って逃走、レイは現場に落ちていたアビーの銃により彼女が殺したと勘違いし…・・・。
「赤ちゃん泥棒」「ファーゴ」「未来は今」など後のコーエン作品に共通するすべての萌芽はここにありますね、1人の裏切り者の悪徳私立探偵と彼に翻弄される3人が織りなす人間模様をユニークかつ斬新なアイデアで描いていました、1984年の作品を15年ぶりに再編集されたものなんですが僕はオリジナルを見ていないので見比べられませんでした、でもランニング・タイムは短くなっているけど新しいシーンが加わってよりサスペンスとホラー色が強くなり音響などが変わったそうです。
マーティはレイの殺害現場に残された銃からアビーが殺したのではないかと焦り必死に現場を片づけ始めますが、そこからまた物語は新たな展開を見せていきますが殆ど3人と悪徳私立探偵の4人だけの物語でこれだけ見せてくれるのは凄い、必死に逃げ惑うフランシス・マクドーマンド演じるアビーやレイに死んだはずのダン・ヘダヤ演じるマーティに追う悪徳私立探偵が面白い、題名通り“シンプル”なんだけど中身がシンプルなので余計にサスペンス・ホラーシーンが際立って見えました。
フランシス・マクドーマンドがまだ若くて綺麗で演技も上手でしたね、ダン・ヘダヤも悪人顔だから悪役ばかりですがいい味を出していて、コーエン兄弟のこれが初監督作品だとは思えない程の佳作だと思いました。
単純明快な作品でコーエン兄弟作品らしさがギッシリ詰まった佳作でした、お勧めします。 |