 | 極寒のロシア辺境の孤児院で育った6才の少年ワーニャ、幸運にも裕福な外国人夫婦のもとへ養子として引き取られることが決まったにも拘わらず、産みの母恋しさのあまり危険で困難なひとり旅に出た彼のひたむきでけなげな姿を、孤児院での生活の厳しい現実も織り交ぜながら哀切なタッチで描写された映画でした。 世界中の映画祭で上映されて幅広い支持を集め、2005年ベルリン国際映画祭少年映画部門のグランプリほか、数多くの映画賞に輝いたそうです。
凍てつくような雪の大地が広がるロシア辺境の孤児院。ここで生活する子供たちにとって、裕福な家庭の養子に選ばれるのは何よりの僥倖であり、また孤児院を経営するマダム(マリヤ・クズネツォーワ)にとっても多額の手数料を手にできる大きな金儲けの機会でもあった。ある日、6才の少年ワーニャ(コーリャ・スピリドノフ)が、さる外国人夫婦のもとに養子として引き取られることが決まる。しかしワーニャは、母恋しさのあまり、孤児院を脱走して顔も知らぬ実母を捜す旅へと出発し……。
孤児院で育った6歳の少年が実の母を求めて過酷なひとり旅を繰り広げる感動ドラマでした、ある出来事を境に実母との再会を希求した末独学で文字を覚え、ついには孤児院を抜け出し追っ手を躱しながら母を探す少年の悲壮な旅路を、現代ロシアの社会情勢を背景にリアルなタッチで綴っていました。
極寒のロシア。国境近くの孤児院でイタリア人夫婦に養子として引き取られることになった6歳の少年コーリャ・スピリドノフ演じるワーニャ、そんなある日先に養子に出された親友のダーリヤ・レスニコーワ演じるムーヒンの実母が我が子を取り戻しに来て、失敗して死んでしまいワーニャは自分の母親にも起こりはしないか思います。 独学で文字を覚え出生記録を盗み読みわずかな手がかりを頼りに、母を見つけ出すためついには孤児院を脱走するのでしたが・・・。
ヴェネツィア映画祭や各映画祭で沢山の賞を獲得した映画でロシアの実情や孤児院の裏事情などを描いたドラマでした、監督は細かな所まで拘って孤児院の孤児達を役者として使い主役のワーニャも1500人の中からコーリャ・スピリドノフを選んだそうです、孤児院と言っても色々あって養子縁組みの斡旋業者から渡される手数料は大きな魅力で、今はそれが皮肉にもお金儲けの方法になってしまっているのですね。
ムーヒンの実の母が孤児院を訪れますが孤児院の院長に『今更なんだ』と冷たくあしらわれ死んだことから、養子縁組みが決まっていたコーリャ・スピリドノフ演じるワーニャが実の母を探す旅に出ようとお姉さんのイルカに字を習おうとします、恐いお兄さんのカリャーンから色々話しを聞き『お前が養子縁組みを断ると次はない』と言われ院長からも注意されますが、それでもワーニャは母親を夢見て“とにかく逢いたい”と母を目指す旅に出ます。
孤児院の中でも子ども達だけでまた小さな社会が出来ていて大きな子どもはより小さい子ども達を守ります、厳しい先輩もいますがワーニャ達を優しく見守るナターハやイルカの存在が良かったです、金の亡者に見えた院長やマダムにマダムの運転手の粗暴なグリーシャですが院長が実は優しい人だったり、ラストには意外な人がワーニャを助けることになりますが果たしてワーニャは母のヴェーラに会えるのでしょうか?
ロシアの広大な自然をもう少し見たかった気もしましたが、なかなか評判通りに素晴らしいドラマでした、お勧めします。
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