 | 主人公は順風満帆の人生だったが、脳梗塞のせいで“閉じ込め症候群”となって全身が麻痺し、身体の自由を一切奪われるという不幸な状態へ・・・。しかし彼は、何と左目のまばたきだけで周囲の人々と“対話”し、自伝の執筆に挑んだ・・・・。 奇跡の実話を現代アート界の寵児としても知られた俊才ジュリアン・シュナーベル監督が、独創的な演出を駆使して活写し第60回カンヌ国際映画祭監督賞を受賞しました。 難役を見事演じきった「ミュンヘン」のマチュー・アマルリックも大力演、実在の主人公を撮影したドキュメンタリー「潜水服と蝶−20万回の瞬きで綴られた真実」も作られました。
1996年、フランスの人気雑誌《エル》の編集長、ジャン=ドミニク(マチュー・アマルリック)は不意に脳梗塞で倒れた後、病院の一室で目覚める。だが意識は戻っても身体の自由はきかず、言葉もしゃべれない。だが、唯一かろうじて動かせる左目のまばたきによってコミュニケーションを交わすという、新たな意思伝達手段を教わる。愛する妻子や言語療法士ら周囲の心優しい人々に支えられながら、ジャン=ドミニクは人生への希望を取り戻し、自伝の執筆にも挑む。
42歳という働き盛りに突然の病に倒れ身体の自由を奪われてしまったELLEの元編集長ジャン=ドミニク・ボビーが、全身の中で唯一動く左目の瞬きだけで綴った奇跡の自伝ベストセラーを映画化した感動ドラマです、監督は「夜になるまえに」のジュリアン・シュナーベル。 主演は「キングス&クイーン」「ミュンヘン」のマチュー・アマルリック、ポランスキー監督夫人のエマニュエル・セニエが妻のセリーヌ役でした。
雑誌ELLEの名編集長マチュー・アマルリック演じるジャン=ドミニク・ボビーは42歳の時突然脳梗塞で倒れてしまう、病室で目覚めた彼は身体全体の自由を奪われた“ロックト・イン・シンドローム(閉じ込め症候群)”となっていてそれはまるで重い潜水服を着せられたような状態。 意識は鮮明なのにそのことを伝える術がなかったジャン=ドミニク、しかし言語療法士マリ=ジョゼ・クローズ演じるアンリエットや理学療法士オラツ・ロペス・ヘルメンディア演じるマリーらの協力で、左目の瞬きでコミュニケーションをとる方法を会得します。 また一方で今まで仕事でおろそかにしていた家族の大切さを改めて思い知り、そしてある日彼は自伝を書こうと決意して編集者アンヌ・コンシリ演じるクロードの代筆でこれまでの帰らぬ日々や思い出をしたためていきます・・・。
この映画は22歳の時に脳内出血で倒れた僕と同じように脳幹部を破壊されたジャン=ドミニク・ボビーのお話でした、少し前にジャン=ドミニクの短いドキュメンタリーを見たことがありましたが本当に瞬きだけで会話していて凄い二枚目さんで映画自体も早く観てみたい作品でした。 彼が陥った“ロックト・イン・シンドローム(閉じ込め症候群)”というのは僕の障害よりも酷いですが、同じような時期を経験していたので彼の絶望的な気持ちとイマジネーションは理解出来ました、しかしあの病状で本を出版したり映画化させたりという姿勢は見習いたいです。
幾つかの例外はありましたが基本的にはジャン=ドーの左目からの視点から映画はつくられています、アンヌ・コンシリ演じる編集者のクロード・マンディビルと出逢いジャン=ドーは本を出版することになりますがそれがまた大変、僕も右半身が最初は動かず右目の瞼を閉じることが出来ず絆創膏で強制的に閉じられていたことがあるので、ジャン=ドミニクのように瞼を縫い付けられはしませんでしたが唯一動かせる左瞼だけを使ってコミュニケーションをとったり本を書き上げるといった努力は凄いことだと理解は出来ました。
ジャン=ドーは42歳で病気になり“ロックト・イン・シンドローム”となって自分を“潜水服を着たようだ”と語ります、僕も同じような病気と後遺症に悩まされているのである意味では共感出来る作品でした、父親を演じたマックス・フォン・シドーとジャン=ドーとのやりとりを見ていたら涙が出そうになりました、健常者の時は老いた父のヒゲを剃りますが病気になってからは老いた父に電話で逆に心配されて泣かれます。
また醜い姿でも愛してくれた妻セリーヌと愛人イネスの違いや、若いアンリエットやマリーら療法士の努力も凄かったし編集者のクロードもエラい、この映画は形は少し違いましたがアレハンドロ・アメナーバルの『海を飛ぶ夢』に何処か似ていました。
個人的にはやっぱりこの素晴らしい映画を撮り上げたジュリアン・シュナーベルに、アカデミーの監督賞を挙げて欲しかったしマチュー・アマルリックにアンヌ・コンシリ、マリ=ジョゼ・クローズやオラツ・ロペス・ヘルメンディアにも何か賞を挙げたかったです。
僕の師匠のおすぎさんは『この2008年に見られたことを感謝したい作品に「潜水服は蝶の夢を見る」があります、これをベストの中に入れなかったのは映画という域を越えている作品だから。』とおっしゃっていました、確かに映画と呼ぶには烏滸がましいというような感じを持たれるかもしれませんね、でもとても素晴らしい映画でしたし『潜水服は蝶の夢をみる』という題名も素晴らしかったです、お勧めします、是非ご覧ください。 |