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「やわらかい手」をお勧めします。

これ、メチャクチャ良かったです。

画像:yawarakaiteAL.jpg説明
1960年代にあのミック・ジャガーの恋人の美少女アイドル歌手として名を馳せ、また映画「あの胸にもういちど」では黒の革ジャン姿で颯爽とバイクを駆って人々の脳裏に鮮烈な印象を刻み込んだマリアンヌ・フェイスフル。
一時はアルコールやドラックに溺れた彼女ですが見事カムバック、そんな往年の伝説的ミューズたる彼女が本作では何と最愛の孫を救いたい一心から、性風俗店で働き出す老婦人役を飄々と好演していました。
ちょっと刺激的で風変わりですが、人生の真実が随所に滲み出た良質の人間ドラマに仕上がっていて、とても素晴らしい映画になっていました。

 
 ロンドン郊外で平凡で慎ましい毎日を送るマギー(マリアンヌ・フェイスフル)。今や彼女の人生最大の楽しみは、息子夫婦の間に生まれた孫のオリー(コーリー・バーク)と対面すること。しかしオリーは難病に冒され、早急に海外で最新手術を受けないと助からないと宣告されてしまう。息子トム(ケヴィン・ビショップ)夫婦にはとても手術費をまかなう余裕がなく、マギーも金策に奔走するがどうにもままならない。切羽詰まったマギーは目にとまった店員募集の貼り紙に釣られ、その性風俗店に足を踏み入れるが……。


「あの胸にもういちど」のマリアンヌ・フェイスフルが幼い孫を助けたい一心で飛び込んだ、未知の世界で新たな人生を見つける初老の女性を演じるハートフル・ドラマでした。
ユーモラスなタッチで綴られていますが共演の「アンダーグラウンド」のミキ・マノイロヴィッチは凄くシブくて良かったです、監督はCMディレクターとして活躍し本作が長編2作目となるサム・ガルバルスキです。

ロンドン郊外の小さな町で平凡な人生を送ってきたまじめな主婦のマリアンヌ・フェイスフル演じるマギー、そんな彼女の最愛の孫コーリー・バーク演じるオリーは難病で6週間以内にオーストラリアで最新の手術を受けなければ助からないと宣告。
息子夫婦にそのための費用を工面する余力はなくマギーは偶然目にした“ホステス募集・高給”の貼り紙が目に、貼り紙に釣られ店を訪れるマギーでしたがそこはセックスショップでマギーの手を見たオーナーのミキ・マノイロヴィッチ演じるミキから、壁の穴越しに手で男をイカせる仕事につかないかとスカウトそれます。
一度は逃げ出したものの孫のためと覚悟を決めその“仕事”を始めたマギーでしたが、意外にもゴッド・ハンドと評判を呼びたちまち売れっ子になっていき・・・。

アンヌ・フェイスフルは68年にジャック・カーディフ監督の「あの胸にもう一度」という映画でアラン・ドロンと共演したそうです、僕はその映画は未見ですが若いときの彼女は素晴らしく美しくてあの“ローリング・ストーンズ”のミック・ジャガーの恋人でもありました、しかし破局後はドラッグやアルコールに溺れた日々を送ったとか。

そんな彼女も80年代に入って歌手として活動を開始し映画にも顔を出すようになりソフィア・コッポラの『マリー・アントワネット』にも出演、そしてこの『やわらかい手』では堂々と主演女優として鮮やかに復活を果たしていました、いくら孫の手術の費用を稼ぐためとはいえ孫のいるお婆ちゃんが無縁だった性風俗店で働き始め“ゴッド・ハンド”と呼ばれるようになるなんて、と思いましたがそうなってからの中年女性の悲哀と哀愁とユーモアたっぷりに描いて思いの外感動しました。

オリーのママ役のサラを演じたシヴォーン・ヒューレットが最初はいかにも現代の若い女の子といった感じでした、姑の方が最近はお嫁さんよりも立場が低いけど次第にお義母さんのことを理解していくというのもドラマ性がありましたね、息子や家族の葛藤に“テニス肘”ならぬ職業病の“○ニス肘”になったマギーも面白かった、本当の友達を大事にしてこれくらいの女性の上辺だけの付き合いを皮肉ったりもしていて良かったです。

マギーが働くセックス・ショップの“アレ”は日本の新宿・歌舞伎町で開発されたものらしいですね、彼女は“イリーナ・パーム”(手のひらイリーナ)という源氏名で評判を呼び他店からの引き抜きも笑えました、風俗店の店長のミキ・マノイロヴィッチ演じるミキが最高に良かったかな、小作品ですがちょっとこちらが感動してしまうくらい素晴らしかったです、お勧めします。