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「ボルベール<帰郷>」をお勧めします。

ペネロぺちゃん、そろそろ恋人のハビエル・バルデムにプロポーズされるみたいです。

画像:volver.jpg説明
「オール・アバウト・マイ・マザー」「トーク・トゥ・ハー」のペドロ・アルモドバル監督が贈る、郷愁と女性讃歌のヒューマン・ドラマです。監督自身の故郷でもあるラ・マンチャを物語の背景に、母、娘、孫娘の三代の女性たちの葛藤と和解を、色彩豊かな映像でミステリアスかつユーモラスに綴ります。アカデミー賞主演女優賞にも初ノミネートされたペネロペ・クルスや、カルメン・マウラにロラ・ドゥエニャスをはじめとする6人の女性キャストが、カンヌ国際映画祭で女優賞に輝くなど各映画賞で称賛されました。


 失業中の夫と15才の一人娘パウラ(ヨアンナ・コボ)を養うため、毎日懸命に働くライムンダ(ペネロペ・クルス)。ところがある日、彼女の留守中、夫パコ(アントニオ・デ・ラ・トレ)が娘のパウラに関係を迫り、動転したパウラが包丁で彼を刺し殺してしまうという悲劇的事件が発生。ライムンダは愛娘を守りたい一心で夫の死体を隠し、事件の隠蔽を図る。そんなさなか最愛の伯母パウラ(チュス・ランプレアベ)が急死したという知らせを聞いたライムンダは、葬儀のため故郷のラ・マンチャへ向かうが、そこで思いがけない出来事に遭遇する。


『オール・アバウト・マイ・マザー』のペドロ・アルモドバル監督が、色彩豊かな映像で綴った“女性賛歌3部作”の集大成的な作品でした、僕は『オール・アバウト・マイ・マザー』や『トーク・トゥ・ハー』などアルモドバル監督の作品が好きなんですよね、下品と言う人もいますがこのアルモドバル作品は“人間の本質”を描いている気がするんですよね。
それぞれに秘密を持つ母・娘・孫娘が、死と対峙しながらもたくましく生きる姿をユーモアを織り交ぜて描いているんですが、ラスト付近の家族の秘密を打ち明けたり一家団らんのシーンは素晴らしかった、2006年カンヌ国際映画祭で主演の6人がそろって女優賞を獲得したそうです。
お母さん役に挑んだペネロペ・クルスはラ・マンチャ地方の美しい女性になるために体重を増やして胸元を強調し、腰回りにはパット入れて“付け尻”を付けてグラマー度をアップしたとか、元々素晴らしい美しさと抜群のスタイルの持ち主のペネロペちゃんだからそんな必要ないと思うんですけどね。娘パウラの前では気丈に振る舞いますが、自分の母イレネには甘えたいという心の二面性を繊細に演じていました、ノスタルジックに歌い上げる(口パクですが)タンゴもお見事でした、口パクだと言われなければ分からないくらいの見事な出来映えでした。
アルモドバル監督が『美の絶頂にいる』とペネロペ・クルスを讃え、ペネロペちゃんのために脚本を書き下ろしたそうです、確かにこの映画ではライムンダという逞しくて美しい女性を演じていました、シャーリーズ・セロンやアンJのように美しさが邪魔をしていますがペネロペちゃんも演技力は抜群だと思います。ソーレ役にアルモドバルの盟友アメナーバルの、『海を飛ぶ夢』にも出ていたロラ・ドゥエニャスも良かったですね、“隠れ美容院”をしながら暮らす独身の姉のソーレを逞しく演じあげていました。
沢山の秘密を抱えたそれぞれの女性たちが、その秘密に悩まされながらも逞しく生きていく姿を描いていました、この『ボルベール』はアルモドバル監督らしい映画でしたね。
イレネとライムンダのラストの会話のシーンも良かったし、イレネとアグスティナの最後のシーンも心に残りました。『オール・アバウト・マイマザー』や『トーク・トゥ・ハー』もそうでしたが、このアルモドバル監督の素晴らしいなぁと思うのは人間の“素晴らしいトコロ”も“汚いトコロ”も等しく描いている所なんですよね。
ペネロペちゃんもロラ・ドゥエニャスも素晴らしくて大満足の映画でした、アルモドバルによる素晴らしい“女性賛歌最終章”でした、お勧めします。