 | いわゆる“機能不全家族”をテーマとした低予算作品ながら、バラバラの価値観の家族が1つの旅を通じて絆を再生していく姿を、ユーモアとヒューマニズムの秀逸なブレンドで描写していました。 「40歳の童貞男」のスティーヴ・カレル、本作でアカデミー助演男優賞に輝いたアラン・アーキンら芸達者な出演陣に交じり、アカデミー助演女優賞にノミネートされた天才子役アビゲイル・ブレスリンも魅力的でした。監督は音楽ビデオ界出身で本作が初長編のコンビ、ジョナサン・デイトンとヴァレリー・ファリス。本作は新人監督の登竜門、サンダンス映画祭で熱狂的に歓迎され、全米公開も予想外の大ヒットを飛ばしました、今年は『JUNO/ジュノ』が同じように活躍しましたね。
アリゾナ州に住むフーヴァー一家は、家族それぞれに問題を抱え、崩壊寸前。パパのリチャード(グレッグ・キニア)は独自の成功論を振りかざして“負け組”を否定し、長男ドウェーン(ポール・ダノ)はそんなパパに反抗して沈黙を続ける。9歳の妹オリーヴ(アビゲイル・ブレスリン)はとうてい無謀なミスコン優勝を夢見て、ヘロイン常習のグランパ(アラン・アーキン)は勝手言いたい放題。さらにはそこへゲイで自殺未遂の伯父フランク(スティーヴ・カレル)まで加わる始末。ママ、シェリル(トニ・コレット)の孤軍奮闘も虚しく家族はバラバラ。そんな時、オリーヴに念願の美少女コンテスト出場のチャンスが訪れる。そこで一家は旅費節約のため、オンボロのミニバスに家族全員で乗り込み、はるばる開催地のカリフォルニア目指して出発するのだった。だがその道中、彼らは各々の問題と直面してその現実と向き合う羽目になるなど、散々なドライブに。そして、一家に衝撃的な出来事が起きてしまう…。
去年のアカデミー賞でかなり話題になった作品です、早くこの『リトル・ミス・サンシャイン』を観たくて仕方が無かったのですが、やっとその思いが叶う日がやって来ました、第80回のアカデミー賞の前日の事でした。 皆それぞれが問題を抱え崩壊寸前に陥った一家が、幼い娘が出場するミスコン会場までの旅の中で絆を回復していく姿をユーモアと、暖かみを持って描いた作品でした。 アラン・アーキンが老人ホームを追い出されたヘロイン常習者で、孫のオリーヴにはあまいですが毒舌家という困り者の老家長を、ベテランの存在感たっぷりに演じて見事最優秀助演男優賞を獲得しましたね、アビゲイル・ブレスリンも頑張ってオスカーにノミネートされていました。 これを観た友人からは『間違いなく和人気に入るヨ』と言われていましたが、本当に大好きな作品になりました、この『リトル・ミス・サンシャイン』にオスカーの作品賞をあげたかったです、アビゲイルにもオスカーをあげたかったです。 まずこの物語の核となる助演女優賞にもノミネートされていたアビゲイル・ブレスリン、『ミス・アメリカ』に憧れて受賞した時の笑顔を練習している彼女は最高でしたね、彼女は崩壊寸前の家族のたった一人の支えでありこの家族の希望でした。 そのアビゲイル・ブレスリン演じるオリーヴが『リトル・ミス・サンシャイン』の決勝大会に出場するために、勝ち馬になることしか頭にないグレッグ・キニア演じる父リチャードにトニ・コレット演じる母のシェリル、兄で沈黙の誓いを立てているポール・ダノ演じるドウェーンに自殺未遂のプッツン病のゲイの兄スティーヴ・カレル演じるフランクが、オリーヴのためにレドンドビーチ目指して旅に出ます。 どうしようもないお祖父ちゃんアラン・アーキンにオリーヴが涙ながらに『パパは負け犬嫌いって言ってたけど、お祖父ちゃんも嫌い?』と質問します、するとお祖父ちゃんは『負け犬の意味を知っているか、負けるのが怖くて挑戦しない奴らのことだ、お前は違うだろ?負け犬じゃない、明日は楽しめ』と答えます、いい事言いますよね。 車がクラッチが壊れて押しがけしないとエンジンがかからなかったり、お祖父ちゃんが急死したりドウェーンがパイロットになれない事が判明したり、色々な事件が後半から起こってきますが、フーヴァー一家はこれらの危機にどう対応して行くのでしょうか? この映画は期待通りの作品でした、一つの家族が崩壊の危機から見事に一つにまとまっていく過程を描いたものですが、グレッグ・キニアにトニ・コレットの夫婦を軸に一つにまとまっていく姿がいいですね。 アビゲイル・ブレスリンも可愛かったけど、段々と役がステップ・アップしているポール・ダノにも感心しました、面白い映画なので皆さんも是非ご覧になってください、お勧めします。
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