 | 過激な作風でカルト的な人気を誇る鬼才ギャスパー・ノエの公私にわたる良きパートナーで、彼が製作・撮影・美術を担当した中編「ミミ」で監督デビューしたルシール・アザリロヴィック。そのルシール・アザリロヴィックが今回、「パンドラの箱」の原作者として知られるフランク・ヴェデキントの短編に想を得て遂に長編監督デビューしました。 外界から隔離された森の奥深くで謎めいた学園生活を送る純真無垢な少女たちの姿を繊細な眼差しで見つめ、観客を夢幻的な世界へいざなっていました。 今年のオスカーを制した、マリオン・コティヤールも出ていました。
人里離れた森の奥深くにひっそりと立つ大きな屋敷。ある日そこへ棺の中に入れられて、6歳の少女イリス(ゾエ・オークレール)が運び込まれ、彼女の奇妙な学園生活が始まる。そこでは、6歳から12歳までの少女たちが年齢ごとのグループに色分けされて日々の生活を送り、大人は、エディス(エレーヌ・ドゥ・フジュロール)とエヴァ(マリオン・コティヤール)という若い女性教師が2人と、年取った召使だけ。イリスは、そんな不思議な女の園でビアンカ(ベランジェール・オーブルージュ)達とダンスのレッスンと生物の授業に明け暮れる毎日を過ごす。そんななか、周囲の環境になじめなかった1人の少女が、ひそかにここからの脱出を図り…。
森の奥にある屋敷を舞台に、純真無垢な少女たちが奇妙な学園生活を送るさまを、幻想的・恥美的に描く寓話劇です。 『ミミ』のルシール・アザリロヴィック監督の長編デビュー作で、第80回のアカデミー賞の最優秀女優賞を見事に受賞したマリオン・コティヤールも、バレエ教師エヴァ役で出演していました。 いきなり棺桶に入った少女が入学してくるシーンからこの不思議な物語は始まるのですが、イリスという棺に入れられて来た女の子は『誰かが・弟が探しに来てくれる』と言ったり、何時外に出られるのかや誰か来るのかと年長のビアンカに訪ねます、僕も始めの方はサッパリ分かりませんでした。 リボンの色で年長者や年少者を見分けるのですが、始まってから20分間ほど女の子しか出てこなくて、森の中に5つある寮の使用人としてマドレーヌというお婆さんが出てきます、ほぼラストまで女の子しか出てこない映画でした。 ローラという女の子がボートで脱走をはかって死んでしまったり、青いリボンの子の中から校長先生が毎年一人だけ選ばれてこの学校を抜けて行くんですが、アリスは選ばれなかった事に絶望してこの学校を覆っている森の中の壁を越えて行ってしまいます。 ストーリーの至る所にこの物語のヒントが出てきます、これはこういうお話なんだろうなと思いながら見ていましたが、僕も確信が持てないので必死になって見ているうちに、何時の間にかこの物語に惹き付けられていました。 時には微笑ましくもあり時には残酷でもあり、ラストも思った通りのようでしたがなんだか切なくもありました、でもラストのビアンカの表情は素敵でした。 この映画は果たして単なるロリータなのでしょうか、そんな気もしますがそうでない気もします、お勧めします。 |