 | 「たそがれ清兵衛」「隠し剣 鬼の爪」と、最近は藤沢周平原作の時代劇を相次いで発表して海外でも高い評価を得ている名匠・山田洋次監督。僕等は『寅さんシリーズ』の方がピンときますね、「たそがれ清兵衛」はとても面白かったですが。 その山田洋次監督が今回、同3部作の最後を締め括るにあたって、あの木村拓哉を主役に抜擢。藩主の毒見役というしがない下級武士が、妻とのつましくも幸せな生活を踏みにじられたとき、一人の男としての尊厳を懸け毅然と立ち上がり、“武士の一分”を賭けた決死の勝負に挑む様子を、切なくも鮮やかに描き出しました。宝塚出身でこれが映画初挑戦となる檀れいや笹野高史、坂東三津五郎や桃井かおりの好演も見ものです。
海坂藩の下級武士・三村新之丞は、自分に与えられた藩主の毒見役という地味な役割にいささかうんざりしつつも、最愛の妻・加世と、父の代から中間として仕える徳平と共に、つましくも平和な生活を送る毎日。ところがある日、藩主の昼食に供された貝の毒にあたって、新之丞は、命こそ取り留めたものの失明。彼の今後の暮らし向きを案じる親戚たちにせきたてられ、加世は夫には内密に藩の有力者・島田のもとに相談に赴き、後日、新之丞の家禄は従来通りとするとの寛大な処遇が下される。けれども、やがて加世のよからぬ噂が耳に入り、島田が卑劣にも加世の貞節を奪っていたことを遂に知った新之丞は…。
木村拓哉が初めて本格的な時代劇に挑戦した映画でした、『1分1秒』の一分ではなくて『いちぶん』と読みます、『いちぶん』とは人が命をかけても守らなければならない名誉や面目を意味します、山田洋次監督の"時代劇3部作"の完結編にあたります。 キムタクは初めから盲目だった訳でなくて、貝にあたって命は取り留めましたが、失明して外が暗いか明るいかしか分からない盲目となってしまいます。 木村拓哉はお毒味役の下級武士で穏やかな心を持った男でしたが、愛妻かよを弄んだ悪辣な上役の策略を知って怒れる武士に変貌、武士の誇り『一分』を取り戻すために闘いに臨みます。 初めて本格的な時代劇に挑む木村拓哉も良かったです、幼少の頃の剣道の経験が活かされているのでしょう。 また脇を固める役者陣も見事でした、特に愛妻かよを演じた檀れいはお見事でした。 宝塚の元トップ・スターで本格的なドラマ出演は初めてでしかも時代劇の木村拓哉の妻役、宝塚出身の人ってセリフの言い回しや芝居が独特で時々ブッコイちゃう人もいますが、檀れいさんは素晴らしかったです、演技も立ち居振る舞いも良かったです。 それから使用人役の笹野さん、『パッチギ!』の時も良かったけどここでも良かったです。 そして叔母役の桃井かおりさんに剣術の先生の緒形拳さん、憎き島田役の中村三津五郎に同僚役の赤塚さんも素晴らしいです。 どんな時代劇になるんだろうと思っていたら、とてもいい意味で普通の時代劇に仕上がっていました、キムタクに笹野さんも素晴らしかったですがやっぱり一番は宝塚出身でこれが映画初挑戦となる檀れいさんですね、お勧めします。
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