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「家の鍵」をお勧めします。

ズシリと心に響いてきます。

画像:ienokagi01.jpg説明
若い頃、恋人が難産の末にこの世を去り、そのうえ赤ん坊が身体障害者として生まれてきたショックから、その子の身柄を恋人の家族に預けたまますっかり背を向けて今日まで生きてきた主人公。
そんな彼が15年間の空白を経て息子とぎこちない再会を果たし、父子一緒の道中に出る様子を、「小さな旅人」のジャンニ・アメリオ監督が、人間の心の弱さやエゴイズムも見すえながら哀歓たっぷりに描きます。
主演のジャンニにはキム・ロッシ・スチュアート、パオロにはアンドレア・ロッシ。シャーロット・ランプリングの見事な助演演技も見ものです。



 若きジャンニ(キム・ロッシ・スチュアート)は、出産で恋人を失い、そのショックから生まれてきた我が子を手放してしまう。15年後、障害を抱えたその息子パオロ(アンドレア・ロッシ)は亡くなった母親の家族によって育てられていた。ジャンニは、15年間一度も会ったことがないパオロをミュンヘンからベルリンのリハビリ施設へ連れて行くことになっていた。道中、パオロにどう接したらいいか戸惑うジャンニ。やがて到着したリハビリ施設でジャンニはより重い障害を持つ少女ナディン(アッラ・ファエロヴィック)の母親ニコール(シャーロット・ランプリング)と出会う。そして彼女との交流が、ジャンニの心に少しずつ変化をもたらしていく。



ジャンニ・アメリオ監督はこの映画のために、筋ジストロフィーの病気の男の子と(パオロを演じたアンドレア・ロッシ君とかな)、一年間一緒に暮らしたそうです。
初めの方に出てくるタクシーの運転手は、パオロを見て『弟と同じで、弟は車椅子』だと答えてパオロの態度に微笑んでくれます、やっぱり知り合いや身内に障害者がいると、その分人は優しくなるんだと思いました。
シャーロット・ランプリングが病院でジャンニに、『男の人なんて珍しい、母親にあてがわれた汚れ仕事だもの』と言います。
確かにそうですよね、障害者の付き添いや世話は女性が殆どですものね、父親には確かに”仕事”もあるのでしょうが、鋭い視点だと思います。
彼女はジャンニの目が『不安でオドオドして、障害者の娘と出掛ける時の夫の目に似ている』と言います、『まるで他人への迷惑を詫びるような目つき』だと。
ジャンニの心を見抜いているような一言でした、ニコル(シャーロット・ランプリング)は色々とジャンニに忠告してくれます、ナディンの母親として戦ってきた経験からもあるのでしょう。
ジャンニがナディンやパオロが子供のうちはいいと言います、シャーロットは『娘は病気で苦しんでいるのに、他の小たちが元気なのを見て妬ましいと言う自分を恥じはしない』と言います。
そしてその後にも重い発言をしますが、これは障害を持つ人を家族に持つ全ての人へのメッセージに思えました。
そしてジャンニはパオロと一緒に暮らすことを決意します、「一緒に暮らそう」とパオロに言うとパオロは、ジャンニに『ジャンニの家は僕の鍵で開く?』と訊きます、何気ない一言ですが大きな一言でした。
そしてジャンニはパオロの父親として生きて行く事を決めますが、同時に彼の目の前には越えなければならない沢山のことが待ち受けていて・・・・・。
全ての人に観てもらいたい映画です、お勧めします、障害者の視線に立って描かれた映画だと思います。