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「ククーシュカ ラップランドの妖精」をお勧めします。

これも変わったお話でしたね。

画像:kukujya.jpg説明
北欧フィンランドの最北部に位置するラップランドを舞台に、互いに戦争状態にあったムーミンとサンタクロースとサウナの国フィンランドから届いた、神秘的でいて心の温まる物語です。
第二次世界大戦末期の物語だけに深刻で悲劇的な状況を描きながらも、微笑ましくウィットに富んだ語り口がとても新鮮でした。そんなところが高く評価されたのでしょうね、モスクワ国際映画祭で最優秀監督賞ほか全5部門独占受賞した作品となりました。
フィンランド人、ロシア人、そして現地のサーミ人――言語の通じない3人が、やがて言葉をこえたところで通じ合うさまは可愛らしくて微笑ましいです。
さらに言えば、フィンランドとロシアの歴史的関係、フィンランドが大戦中ナチスに味方していたという、あまり知らない近・現代史の一幕も垣間見られて興味深いです。



 1944年、第二次世界大戦末期のラップランド地方。フィンランド軍はかつて奪われた土地を奪還するためドイツ軍と同盟を組みロシア軍と戦っていた。フィンランド軍の狙撃兵ヴェイッコ(ヴィッレ・ハーパサロ)は反戦的態度が問題とされ、ロシア軍の標的となりやすいドイツの軍服を着せられ岩に鎖で繋がれ置き去りにされてしまう。一方、反体制という濡れ衣で秘密警察に逮捕されたロシア軍大尉イワン(ヴィクトル・ブィチコフ)は、護送中に味方の誤爆に遭い、重傷を負ってしまう。近くを通りかかったサーミ人のアンニ(アンニ=クリスティーナ・ユーソ)は、イワンを自分の小屋へ連れ帰り手当てする。やがて、その小屋に、岩から自力で脱出したヴェイッコもやって来た。こうして、3人の奇妙な共同生活が始まるが、それぞれロシア語、フィンランド語、サーミ語しか話せない彼らの会話はまるで噛みあわない。おまけに、戦争未亡人のアンニは4年もごぶさたで、突然現われた2人の男にすっかり欲情してしまい…。


本当に微笑ましい作品でしたね、素朴で都会的な感じは全く受けなかったですが主人公のアンニを演じるアンニ=クリスティーナ・ユーソが、とてもいい味を出していました。
それにしても"ラップランド地方"というのは素晴らしくキレイなところでした、この映画でもっと"ラップランド"の景色を見てみたかったのですが、この映画を見ただけでも十分に堪能出来たかな。
同じフィンランドでもラップランドに住むサーミ人のアンニと、狙撃兵で都会に住むヴェイッコでは殆ど言語が違って通じないというのが、興味深い事実でしたね、日本の方言どころの騒ぎじゃありませんね。
本当は敵同士のイワンとヴェイッコ、その2人を助けてかくまうアンニ達3人の生活は、本当に奇妙な共同生活となります。
確かに緊張が走る戦時下に、この”ラップランドとアンニ”の時間と世界だけは、緩やかと穏やかに進んでいるように感じます、彼女や彼女に興味をいだく2人の男達の奇妙な共同生活もドコカ微笑ましいです。
ヴェイッコがイワンに名前を尋ねるんだけど」、ドイツの軍服を着たヴェイッコをドイツ人と勘違いしたイワンは、ロシア語で「パショール・ティ」(字幕では「クソくらえ」)と罵るんですよ。
でもロシア語の理解できないヴェイッコはそれを聞き違えた上に、イワンの名前と勘違いしてそれを覚えてしまい、イワンのことを「ショールティ」(字幕では「クソクラ」)と呼ぶようになるのはおかしかったですね、アンニにも「ショールティ」と呼ばれていました。
フィンランドがナチス・ドイツに味方していたというのも、とても意外な真実でした、そういう意味でもとても意味と意義のある映画だったと思います、お勧めします。