 | この映画、早くも2007年の初見の映画、ナンバー1かもしれません!!! 思っていたよりも凄く良かったです、マギーを演じたキャメロン・ディアスもローズを演じたトニ・コレットも、もっと言えば2人の祖母のエマに扮したシャーリー・マクレーンも。 きっと誰か一人かけたら、こんな素晴らしい映画にはならなかったでしょう、賞レースにはそっぽを向かれたようですが、オスカーの作品賞なんかよりもずっと素晴らしい作品に僕は思いました。 ベストセラー作家、ジェニファー・ウェイナーの第二作を映画化した爽やかな人間ドラマです。 キャリアはあるが、自分を抑え続けて生きてきた姉ローズと、ルックスだけで人生を切り抜けてきた妹マギー。そして、娘の死を背負い続ける祖母エマという3人の女性が、それぞれにぴったり合う自分だけの靴に出会っていくまでの様子を、繊細かつ丁寧に綴られています。 「コニー&カーラ」で”反則ともとれる男装”で、僕等を散々笑わせてくれたトニ・コレットは、実際に体重の増減にも果敢に挑んで輝くような変化を表現させたそうです。 マギーを演じたキャメロン・ディアスは、「演技派トニ・コレットとシャーリー・マクレーンに囲まれて、2人に触発されたのか素晴らしい演技を披露していた」とありましたが、可愛い顔が邪魔していただけで演技が下手だとは思っていなかった僕には、キャメロン・ディアスに失礼な言葉だなぁと思いました。 監督は、『L.A.コンフィデンシャル』『8Mile』のカーティス・ハンソンです、スタイリッシュというよりも、繊細で厚みのある映像でドラマをもり立てていました。
弁護士のローズ(トニ・コレット)は、義理の母親に家を追い出された妹、マギー(キャメロン・ディアス)を仕方なく自宅に居候させるが、当のマギーは、仕事も決まらず勝手し放題。挙げ句、ローズの恋人とベッドインした所を目撃され、家を追い出されてしまう。行き場を失ったマギーは、亡くなったと聞かされていた祖母エマ(シャーリー・マクレーン)を頼りに、フロリダへ向かう。孫娘の突然の訪問に喜ぶのもつかの間、マギーの奔放さに辟易したエマは、彼女を老人たちの施設で働かせることに。そこでマギーは、新たな自分を発見していく・・・。
いやあ、本当にいい映画だったと思いました、一時期話題になったものの賞レースにも参加していなかったようで、どうしたんだろうと思っていました。 昨年見た『シンデレラ・マン』と同じで、不当に低く評価をされてしまった映画だったと思いました。 問題はただ一つ、実際はトニ・コレットの方が2ヶ月ほど年下なのに、完全に”キャメロン・ディアスの姉”役ブリが似合ってしまっていることだけでしょう。 顔が可愛いことだけが取り柄だと思っている妹マギーを、キャメロン・ディアスがとても上手でチャーミングに演じていました。 最初は自分勝手なワガママ娘なんだけど、姉とのケンカや祖母との出会いなどで、ドンドン変わっていく娘マギーを、魅力タップリに演じていました。 一番強く心に残っているのは、老人ホームでの教授とのシーンですかね、あの”難読症”を見破ってそれでも読ませる教授とのシーン、あのシーンは凄く素敵でしたね。 この映画の、ある意味一番重要で大切なシーンなのかもしれませんね。 ”難読症”って僕等にはあんまり馴染みのない言葉ですよね、難読症とは他の能力には何ら問題はないのに、読書する時や、特定の文字を綴る時などに障害がおこる症状のことだそうです。確かトム・クルーズもそうでしたよね、調べたらキアヌ・リーブスやオーランド・ブルームなんかもそうで、それを克服したことで知られているそうです。 その”難読症”を”元気なシニアの施設”の教授が優しく指導してくれて、その”難読症”を克服して教授に「君は頭のいい女性だ」と褒められて、嬉しそうにしているマギー=キャメロン・ディアスの表情が素敵でした、彼が亡くなった後の表情も良かったです。 姉のローズ役のトニ・コレットも良かったです、弁護士を休職してからやり始めた仕事を、凄く楽しそうに演じていたのが印象的でした、弁護士をしている時は強張っていた表情が和らいでいました。弁護士をしていた頃よりもイキイキとしてましたね、腰掛のつもりの仕事だったのに、まるで天職に出会った時のようにキラキラ輝いていました。 そしてラストの妹マギーのハプニング・スピーチの時の表情、マギーが”難読症”だと分かっているし何を言うのかと心配した姉としての表情と、新婦としての嬉しそうさの入り混じった複雑な表情が印象的でした。 この作品で妹のマギーも自分にピッタリの靴を探し出しますが、姉のローズもまた、新しい自分の靴を見つけ出します。 性格も趣味も生き方も全く違っているのに、靴のサイズだけ何故か同じという姉妹が、色々な経験を積んで自分にピッタリの靴・生き方を探し出して行く物語です。 そして祖母のエマもまた、亡くした娘の事(ローズやマギーの母)や先立たれた夫の事、長い間疎遠になっていた孫娘達との問題を解決して行きながら、自分にピッタリの形と大きさの靴を探し出して行きます。 シャーリー・マクレーンは流石の貫禄でしたね、話していなくてもただそこにいるだけで、画になる女優さんですね、さすがウォーレン・ベィティのお姉さんですね。 あまりにもキャメロン・ディアスとトニ・コレットの演技が素晴らしかったので、あまり触れませんでしたがこの大女優・シャーリー・マクレーンの演技はお見事でした。 今さらながらに褒めることもありませんが、この女優さんの雰囲気と言うかオーラみたいなものは、そう簡単にはマネ出来そうにありませんね。 キャメロン・ディアスやトニ・コレットが縛られるように履いていたハイヒールから、自分にあった事を始める時に履きやすいスニーカーに履き替えていたり、さりげなく靴のアップからシーンが始まったりと、細かいところにも気配りがされていてとても良かったです。 それぞれが自分にピッタリとくる靴を、色々な経験をしながら自分の力で探し出していく素晴らしいドラマです、あなたも是非ご覧になってみてください、お勧めします。
それにしても『イン・ハー・シューズ』ってタイトル、いいタイトルですね、色々解釈できて奥が深いです。
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