 | イギリスを代表する女流作家・アイリス・マードックの半生を綴った感動作で、夫役のジム・ブロードベンドが見事にアカデミー賞の助演男優賞を受賞した作品です。 かつては沢山の恋人と付き合っいながらも、純粋な男性ジョン・デイリーにいつしか心惹かれ彼と結婚した作家アイリス・マードック。しかし晩年になるとアイリスはアルツハイマー病に蝕まれていき・・・。40年前の回想と現在を交錯させながら描かれる、愛の物語である。イギリス演劇界の女王ジュディ・デンチと、あの「タイタニック」のケイト・ウィンスレットがアイリス・マードックを、ヒュー・ボナヴィルとジム・ブロードベンドがジョンを演じ、晩年のジョンを演じたジム・ブロードベンドが見事にアカデミー最優秀助演男優賞を獲得した。ジュディ・デンチも主演にリミネート、ケイト・ウィンスレットも助演でノミネートされ作品も素晴らしい出来栄えでした、でも作品賞にはソッポを向かれました。 僕はこの映画を何の予備知識も無く観ましたが、それでも内容は良く分かりました。この映画は本作の監督であるエア監督に脚本を依頼した大手の映画会社が手を引いたため、映画化はいったんストップしたそうです、監督は「きっと売れないと思われたのでしょう。でも、その会社のプロデューサーはこの映画を見て、私に”後悔している”と言いました」と、後に話していました。 まずなんていってもジム・ブロードベンドがいい!物凄く上手いです、この年は「ムーラン・ルージュ」で共演したニコール・キッドマンは主演女優賞にノミネートされ、「ブリジット・ジョーンズの日記」では同じく共演したレニー・ゼルウィガーがやはり主演女優賞にノミネートされるなど、大変な活躍ぶりでした。僕も全部観ましたが、素晴らしい演技でした、何時かのジョセフ・ファインズみたいでした。 若いときも晩年になって病気に苦しむアイリスを、盲目的・献身的に優しく包み込むように愛する彼はとても素敵です。人は愛するものに惜しみなく愛情を捧げるもの、と監督のリチャード・アイルに言われているような気がします。自分もジョンのように愛情を惜しみなくそそげるだろうか、ちょっと考えさせてくれる映画です、それでいてメッセージ色は全くと言っていいほど無く、淡々と物語りは進みます。 デン・ジュディ・デンチが上手いのは当たり前ですが(主演女優にノミネート)、ケイト・ウィカスレット(助演女優賞ノミネート)が素晴らしいです、デビュー作の「乙女の祈り」(「ロード」のピーター・ジャクソンが監督)の演技に近かったかな?「タイタニック」でのローズは何処へ行ったの?っていうくらい上手いです、自由奔放な若き日のアイリスを見事に演じています。 ケイトの助演扱いも疑問ですが、ジム・ブロードベンドの助演扱いも腹が立つような、そのくらい素晴らしく演じあげています。 僕のテンションとは反比例するような、淡々とした空気の中で映画は進んで行きます、でもとめどなく言葉を書きたいほど、僕の心は動かされました。 この映画、大作ではありませんが侮れない素晴らしい映画です、是非その目でご覧下さい。
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