説明 |
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フランク・ダラボン監督の「マジェスティック」を観ました、この監督は「ショーシャンク」や「グリーンマイル」で有名ですが、他の人と組んだ作品も素晴らしいモノかと思い、観てみました。 時は1951年、赤狩り(共産主義者を排除する事が目的で、さながら魔女裁判のようだったと思われます)吹き荒れる中、新人脚本家のピーター(ジム・キャリー)は突然共産主義者と名指しされ、審問会に償還されることに。絶望した彼は自動車事故で川に転落。 命は助かったものの、以前の記憶をすべて失ってしまう。そんな彼がたどり着いたのは小さな田舎町ローソン、ところが、その街の人達は彼を行方不明になっていた英雄ルークだと信じ込んでしまう。 自分が誰なのかもわからず戸惑う彼だったが、人々の温かさに触れ次第にルークであることに馴染んでいく。やがて、彼は街の象徴でもあった映画館「マジェスティック」の再建に乗り出していくが・・・。 フランク・ダラボンは「ショーシャンクの空に」や「グリーンマイル」など、感動的な作品をつくれる監督ですが、スティーブン・キング以外の人と組んでも素晴らしい作品をつくれるのか疑問でした。 それもあって今回この「マジェスティック」を観たのですが、期待通りに素晴らしい作品でした。彼はキング以外の人と組んでも(発売されているモノを見たらグリーンマイルとショーシャンクとマジェスティックだけでした)素晴らしい作品をつくれる事がわかりました。 もともとジム・キャリーの演技には定評がありました、「トゥルーマン・ショー」でゴールデン・グローブ賞の最優秀男優賞を獲ったぐらいですから(ところがオスカーにはノミネートすらされずに、プレゼンターでその事をネタに大笑いをとっていました)。ルークの父親役を演じたマーティン・ランドーも、「エド・ウッド」でオスカー(助演)を獲得しただけあって、素晴らしい演技を見せてくれています。 他にも芸達者な脇役陣が、感動のヒューマンドラマに仕上がっています。 僕達は「赤狩り」の怖ろしさをなんとなくはわかっていますが、この作品でも「赤狩り」が一つのテーマになっています。一度エリア・カザン監督のところで説明しましたよね。 第二次世界大戦が終わったアメリカでは、共産主義・思想はアメリカの敵だとし、危険な考えは排除しようといった運動が起こりました。今は何の思想を持とうが自由ですが、当時のアメリカでは許されませんでした。 ”レッド・パージ”、いわゆる赤狩りとは、共産主義の集会や会合・パーティーに出席した人間を捕まえて証言台に立たせ、一緒に参加した人の名前を無理矢理言わせ、言わなかったもの・密告しなかったものは片っ端から監獄に入れるというものでした。 とても乱暴な事でしたが、当時のアメリカは狂ったように「赤狩り」を行いました。チャップリンなど多くの映画人たちはこの赤狩りに嫌気がさしてアメリカを去っていきました。 この映画では、この「赤狩り」と第二次世界大戦後のアメリカの様子を、主人公ピーター(ルーク)の目を通して僕達に語りかけてくれています。 マーティン・ランドー扮するルークの父親が、ピーターが脚本を書いた映画の結末を(彼はルークがピーターだとは思っていない・多分)最期にピーターに聞くシーンで、「善玉が勝たないと映画はつまらないもんな」というシーンがあります。 「マジェスティック」とは、この映画では「威風堂々」という意味で使われています、とても素晴らしいファンタジーになっていますので、よかったらご覧になって下さい。 今ならDVDも1500円で売っています、この映画、お勧めしますよ。 |