 | 人はもっとも憎い相手を受け入れることが出来るのだろうか? そんな人間の本質をドキュメンタリーのような緊迫したタッチで、描き出した作品です。 監督は「ロゼッタ」という作品(僕はまだ未見です)でカンヌ映画祭のパルムドールを受賞した、ベルギーのダルデンヌ兄弟。この作品も同映画祭の男優賞(オリヴィエ・グルメ、別名弱いダイハード・ブルース・ウィリスのお兄さん)とエキュメニック特別賞に輝いたそうです。 少年院から出てきた子供たちを訓練する職業訓練所で、大工仕事を生徒たちに教えているオリヴィエ(オリヴィエ・グルメ)。彼は新しく入所した少年フランシスに、異様とも思える執着を見せる。時には優しい教官だが、時には氷のような冷たさで接する。 実はフランシスは別れた妻との間に出来た息子を、殺した犯人だった。 感情をムキ出して怒る妻とは裏腹に冷静に接するオリヴィエ、そんなある日オリヴィエは山奥の製剤工場にフランシスを連れて行き・・・。 「人間は憎しみの対象を受容出来るのだろうか」がこの映画の最大のテーマだと思いますが、なかなか見事に仕上がっていると思います。 ドキュメンタリー映画のような緊迫した映像が素晴らしいです、オリヴィエの視線を追うようなカメラアングルも秀逸だと思います。少しヒステリックになる元妻を必死にオリヴィエは抑えますが、そんな冷静に振舞うオリヴィエもやがて・・・。ここからは皆さんが観て考えてください。 最後は少々あっけないというか淡々とした終わり方に感じられるかも知れませんが、おそらくあんな終り方がこの優秀な映画には相応しいのかも。 僕は父親の経験も息子を殺された経験もありませんが、中々優れた映画だと思います、是非ご覧になってみてください。 |