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「ベンジャミン・バトン 数奇な人生 」をお勧めします。

本当に「 数奇な人生 」そのものでした。

説明
第81回アカデミー賞で同年最多の13部門にノミネートされ、作品賞は惜しくも逃したが、美術賞、メイクアップ賞、視覚効果賞を受賞。「セブン」「ファイト・クラブ」でも組んだ主演ブラッド・ピットとデヴィッド・フィンチャー監督のコンビは、奇抜かつ幻想的な物語を得て空前絶後の人間賛歌を生み出した。物語が進むにつれて変化していく各時代を壮大かつ精密に再現した映像美が一番の見もの。中でも若返っていく主人公を20歳(但し外見は60歳の老人)から演じたピットの熱演と、ケイト・ブランシェットも見事でした。主人公の年齢にあわせてブラッド・ピットを次々と変化させた特殊メイクや視覚効果に驚かされる。


1918年、ニューオリンズ。バトン夫妻の間に産まれた息子は小さいがしわだらけという、まるで老人のような赤ん坊。父親に捨てられた赤ん坊は老人ホームを運営する女性クイニーに拾われ、ベンジャミン(ブラッド・ピット)と名付けられる。不思議なことにベンジャミンは年月を経るうち、全身が若返っていく。12歳の時、純真な少女デイジー(ケイト・ブランシェット)と出会い、2人は仲良くなるが、成長したベンジャミンは船員になって世界各地へ。以後も彼の人生は数奇な道を歩む・・・・。



「セブン」「ファイト・クラブ」に続いて3度目のコンビを組んだデヴィッド・フィンチャー監督が、ブラッド・ピット主演で贈る感動ヒューマン・ファンタジー大作です。
『グレート・ギャツビー』で知られる小説家F・スコット・フィッツジェラルドが、1920年代に著わした短編を基に80歳の老体で生まれ歳を取るごとに若返っていく、男の波瀾に富むも儚い人生の旅路が第一次大戦後から21世紀初頭に渡る、激動の現代史を背景に最新のCG技術を駆使した驚異の映像で描かれていきます。

1918年のニューオーリンズ。一組のカップルの間に男の子が産まれるがその赤ん坊は80歳の老人のような奇異な容貌をしていた、ショックを受けた男は困り果てた末赤ん坊を老人養護施設に置き去りにしてしまい、黒人女性タラジ・P・ヘンソン演じるクイニーに拾われた赤ん坊はベンジャミンと名付けられ育てられる。
成長するにつれ髪が増え皺が減り車椅子から立って歩けるようになるなど、普通の人間とは逆に若返っていくブラッド・ピット演じるベンジャミン、やがて少年期を迎えた彼はある日施設入居者の孫娘で6歳の少女デイジーと出会うがそれは、これから様々な経験を積み壮大な人生を歩んでいくベンジャミンにとって、今後かけがえのない存在となる女性(大人になるとケイト・ブランシェット)との運命の出逢いだった・・・。

これも去年のアカデミー賞で話題となって色々騒がれた作品でしたが、この「ベンジャミン・バトン数奇な人生」は“若返り”ものなのです(なんでも若返りモノは映画史上初らしいです)、それをイケメンで演技も上手いブラッド・ピットが演じるという夢のような映画でした、共演のケイト・ブランシェットや“白い魔女”のティルダ・スウィントン、久々のジュリア・オーモンドにオスカー・ノミネートされたタラジ・P・ヘンソンも良かったです。

僕のブラピとの出会いは『テルマ&ルイーズ』でしたが、『リバー・ランズ・スルー・イット』を初めて見たとき少年のようなキラキラした笑顔で、本当にロバート・レッドフォードの若い頃にそっくりのナイーヴさを持った美少年でしたね。

この『ベンジャミン・バトン』はただ年寄りで産まれた主人公が赤ちゃんになって死ぬだけの奇抜な物語なだけではなく、とても物語としても優れていてシッカリとした丁寧なつくりになっていてキチンと出来た傑作でした、これでオスカーが穫れなかったのは『スラムドッグ$ミリオネア』が余程優れていたというくらい良く出来た作品でした。

ケイト・ブランシェット演じるデイジーが年老いて病院のベッドで娘に日記を読んでもらう形で進みます、年を老るごとに若くなっていくベンジャミンの一生を彼の妻だったデイジーの回想で見せていきます、おすぎさんも言ってましたが「逆も、また真なり」という言葉を思い出してしまいます。

子供で生まれ年を取った老人で死ぬか年寄りで生まれ子供のままで死んでいくか、どちらにしろ生まれる時も死ぬ時も“何も知らない状態”で生まれて死んでいく訳です、どっちにしろ人間というものはそういうものなのだと当り前のことを気づかせてくれました。

オスカーにもノミネートされたベンジャミンの育ての母のタラジ・P・ヘンソン演じるクイニーが、『皆昨日の自分とは違う、でも最後は同じ、たどる道が違うだけ』とベンジャミンに言います、人間の生と死や愛を今さらながらに考えさせてくれたデヴィッド・フィンチャーの語り口も映像も美術も素晴らしかったです、とても不思議で素晴らしい映画でした、お勧めします。