 | イギリスの小説家ジョナサン・トライゲルの同名小説を映画化した本作は、少年犯罪で服役し、刑期を終えて出所した青年の心の傷、希望と孤独を描くと同時に、そういう過去を背負う人物が近所に住んでいることを知った時、人はどのような反応を示すのかを観客に問いかける。主演のジャックを務めるのはアンドリュー・ガーフィールド。ロバート・レッドフォード監督の『大いなる陰謀』にも出演していた期待の若手俳優だ。またジャックの後見人テリーを演じるのは、『マイ・ネーム・イズ・ジョー』などの名優・ピーター・ミュラン。ジャックと父子のような関係を築きながらも、実の息子との関係に悩む難しい役柄をさすがの名演で魅せてくれる。
24歳のジャック(アンドリュー・ガーフィールド)は、子供の頃に犯した犯罪により少年院に入れられ、14年間の刑期を終え再び外の世界へ出ようとしている。ソーシャルワーカーのテリー(ピーター・ミュラン)から仕事とアパートが与えられ、彼は過去を隠し、名前も変え新しい生活を始める。運送業の会社に就職した彼は、同世代の青年クリス(ショーン・エヴァンス)とコンビを組むことになる。職場にはミシェル(ケイティ・ライオンズ)という気になる女性もいた。ある日ジャックは、クリスに後押しされてミシェルを誘う…。
少年時代にある罪を犯し長い刑期を終えて社会復帰を果たした青年が辿る悲劇を、過去を少しずつ明らかにしていく構成と青年の苦悩と希望を優しくエモーショナルに見つめた巧みな演出で衝撃的に描き出していました、主演の「大いなる陰謀」のアンドリュー・ガーフィールドが良かったです。
イギリスのマンチェスター。かつて“少年A”と呼ばれた青年は刑務所から出所したアンドリュー・ガーフィールド演じる青年は、“ジャック”はという新しい名前を与えられ過去を隠して新しい生活を始める。 ジャックは大人になってから初めて体験する外の世界に戸惑いつつも、ソーシャルワーカーのピーター・ミュラン演じるテリーのサポートを受けながらしずつ社会に溶け込んでいき、職場では仲間やケイティ・ライオンズ演じる”白鯨”ミシェルという恋人が出来て人生初めての恋も経験するジャックだったが・・・。
かつて『悪魔のような少年』と恐れられた青年が成長して出所して、過去を殺して再生を計って新しい名前で心機一転人生をやり直そうとしますが、彼“少年A”の過去が明らかとなっていきそこからまた悲劇がやって来るというお話しです。
原作者のジョナサン・トリゲルが小説のタイトルにしたこの「BOY A」は日本の事件報道からヒントを得たものだそうです、あの日本で事件が起こした時などに使われる“少年A”というあの呼び方のことですがあの呼び名は日本独特のモノみたいですね、タイトルの「BOY A」と聞くと“少年犯罪者”の話なのかと想像してしまいますがまったくそのままの話でなく、なかなか“ヒネリ”を効かせて人間は再生出来るのか・やり直せるのかに焦点を当てたストーリーになってました。
少年犯罪人が出所して名前を変えて社会復帰をする姿を描いた作品ですが重い“十字架”を背負っています、これは“人間は人生をやり直せるか”“人間は過去の過ちを償って再生出来るのか”を描いていました、結果は“悲劇”と言っていえるほどの展開で『もう少し明るくして欲しかった』と思ってしまいましたが。
恋人のミシェルと愛を育んで行くウチに全てを話したいとテリーに相談するジャックでしたが、テリーは『賞金もかけられているし絶対に駄目だ』と言われ『社会は決して許してくれない』とも、交通事故で死にかけた少女の生命を助けたジャックですが社会の目は彼をやさしく見守ってはくれませんでした。
少年の頃のエピソードを巧みに今とリンクさせながらさらなる悲劇を展開させいきました、どこまでもやさし気な映像が続く作品でしたがラストがちょっと悲劇過ぎて救いがないように思えてしまいました。
ジャックを演ずるアンドリュー・ガーフィールドのナイーブな演技を驚くほどの素晴しさで見せてくれます、アンドリュー・ガーフィールドの演技を見ているだけでも価値があるしミシェル役のケイティ・ライオンズも素晴らしかったと思います、『大いなる陰謀』の時から登場時間は短かったですが凄く演技の上手な子だとは思っていましたが、まさかこんなに上手にナイーヴな青年役を演じるとは思ってもいなかったです。
ラストはあの展開からだとああするしか無かったのでしょうが、ちょっとミシェルの言葉や“ジャック”の独白も慰めにはならなかったしもう少し希望が持てる方が良かったです、悲しい現実でしたがお勧めします。 |