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「イースタン・プロミス」をお勧めします。

クローネンバーグ、すっかり巨匠の仲間入りしましたね。

画像:EasternPromises9.jpg説明
「ヒストリー・オブ・バイオレンス」でも組んだクローネンバーグ監督と主演ヴィゴ・モーテンセン(「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのアルゴルン役でも人気)が再びタッグを組み、さらに激しい暴力ドラマに挑戦しました。
マフィアによる人身売買というショッキングな題材を、偶然彼らと接点を持った女性と謎めいたマフィア(モーテンセン)の交流や、予期させない展開と共に描写した作品で凄くいい仕上がりでした。ナマの暴力を連想させる、濃密な空気が息苦しいほどの迫力でし。
全裸姿での格闘場面などを熱演したヴィゴ・モーテンセンは、第80回アカデミー賞で主演男優賞にノミネートされました、共演は「マルホランド・ドライブ」「キング・コング」のナオミ・ワッツと、「クリムゾン・リバー」のヴァンサン・カッセルにアーミン・ミューラー=スタール。


イギリスのロンドン。アンナ(ナオミ・ワッツ)が助産婦をしている病院に少女が担ぎ込まれ、少女は女児を産んだ直後に亡くなる。アンナは少女の身元を調べようと、少女が持っていたロシア語の日記とそこに挟まれていたカードをたよりに、あるロシア料理店を訪ねる。アンナはそこで店のオーナー、セミオン(アーミン・ミューラー=スタール)や運転手のニコライ(ヴィゴ・モーテンセン)と出会うが、実はセミオンはロシアン・マフィアのボスで、亡くなった少女は人身売買されて悲惨な道を歩んできたと分かり……。


「ヒストリー・オブ・バイオレンス」のデヴィッド・クローネンバーグ監督と、ヴィゴ・モーテンセンが再びコンビを組んだ戦慄のバイオレンス・サスペンスです、ロンドンの裏社会を舞台にひょんなことからロシアン・マフィアを敵に回してしまった女と、ロシアン・マフィアの一員でありながら非情さと優しさを併せ持つ謎めいた男の奇妙な心の交流を描いていました。

クリスマスを控えたイギリスのロンドン。助産婦のナオミ・ワッツ演じるアンナが働く病院に10代の幼い妊婦が運び込まれる、少女は女の子を産んだ直後死亡し少女のバッグからロシア語で書かれた日記を見つたアンナは、孤児となった赤ちゃんのためにと少女の身元を調べ始める。
アンナは挿まれていたカードを頼りにアーミン・ミューラー=スタール演じるセミオンがオーナーのロシア料理店を訪ねる、そしてその店の前で運転手だという謎めいた男ヴィゴ・モーテンセン演じるニコライと出会うアンナだったが・・・。

バイオレンス・サスペンス・ホラー映画の傑作『ヒストリー・オブ・バイオレンス』のクローネンバーグ監督と、ヴィゴ・モーテンセンが再びタッグを組んだ異色作でしたがあんまりにも素晴らしくてビックリしてしまいました、デヴィッド・クローネンバーグという監督は“鬼才”などと呼ばれてましたがすっかり“巨匠”の雰囲気を漂わせてますね、僕は昔からクローネンバーグ監督のホラー映画を沢山観てきましたが最近は本当に作風が変わって素晴らしい映画をつくるようになりました。

「スキャナーズ」や「ラビッド」に「デッド・ゾーン」など素晴らしいホラー映画をつくったかと思えば、「裸のランチ」「イグジステンズ」みたいに訳分からない映画を撮ったりした頃は“鬼才”の名に相応しい監督でしたが、『ヒストリー・オブ・バイオレンス』で“巨匠”の雰囲気を漂わせはじめて今回の「イースタン・プロミス」では完全に“巨匠”の域に達しましたね、主演のヴィゴ・モーテンセンも「デイライタ」や「ロード・オブ・ザ・リング」で大役アラゴルンをこなし、「ヒストリー・オブ・バイレンス」でのクローネンバーグと組んで一皮も二皮もむけて堂々たる実力俳優になりました。

「イースタン・プロミス」の意味はイギリスにおける東欧組織による人身売買契約のことだそうです、助産士のアンナは叔父のステパンに頼み亡くなったタチアナという女の子の日記を解読して、やがて日記はセミオン達の手に渡りますがキリルに殺されたソイヤの兄弟が現れて事態は急変、そこから大きく物語は展開していきますが実にスムーズだし役者さん達の演技も素晴らしかったです。

“法の泥棒”のドンのセミオンの息子キリル役のヴァンサン・カッセルも良かったです、ナオミ・ワッツは僕よりも二つも年上なのに本当に若々しくてキレイで演技の上手い女優さんですね、派手さはあまり無いんだけど綺麗で演技力のあるいい女優さんで年齢を感じさせない素敵な女優さんになりましたよね、本当に「マルホランド・ドライブ」が注目されて女優を辞めないで良かったですよね。

ロンドンの別の顔(ロシアン・マフィアの暗躍)を描いて見事な社会派サスペンス・バイオレンス作品になっています、『ヒストリー・オブ・バイオレンス』といいこの『イースタン・プロミス』といい、単なるサスペンス映画では終わらない濃密なバイオレンス・サスペンスでした、ラストも引きずらないけどあれで大正解だと僕は思うし『ミスト』みたいに素晴らしい作品に仕上がりました。

素晴らしい作品だろうと思ってましたがこちらの期待以上のデキでした、大満足の一本です、お勧めします。