 | 1969年イラン生まれのマルジャン・サトラピ監督が4年をかけた自伝的グラフィック・ノベルを、原作者自身が監督の1人となって映画化した作品です。 少女時代、イラン革命の混乱に巻き込まれたのを機にヨーロッパへ移り住んだサトラピ監督の実体験から、イラン革命や当時のヨーロッパ各国の世相をリアルに見つめたのが出色で、従来のアニメとは一味違った実写に匹敵した見ごたえの“私小説風アニメ”でした。ヒロインの現在をカラーで、過去をモノクロで描いた手法もシンプルながら効果的、カトリーヌ・ドヌーヴと娘キアラ・マストロヤンニが声優として親子共演したのも話題の一つです。
1978年イラン。9歳のマルジ(声 キアラ・マストロヤンニ)はブルース・リー好きのおてんば少女。両親や祖母と幸福に暮らしていたが、翌年のイラン革命でイスラム政権が誕生すると生活は一変し、自由は減り、しかも80年にはイラン・イラク戦争が勃発。それでもマルジはパンクロックに傾倒するなど自由を求めるが、パパ(声 シモン・アブカリアン)とママ(声 カトリーヌ・ドヌーヴ)はそんな娘を混乱が続く母国から遠ざけようと、ウィーンに留学させる。マルジは初めて体験する西欧文化とイスラム文化の狭間で悪戦苦闘し……。
イラン出身でパリ在住のマルジャン・サトラピの半自伝的グラフィック・ノベルを、マルジャン・サトラピ自ら監督・脚本で映画化した長編アニメです、イラン革命に始まるイランの激動の現代史を一人の少女の成長物語に重ね、生活者の目線から皮肉とユーモアを織り交ぜて描き出していました。
1978年のイラン。9歳のブルース・リーに憧れる少女マルジャン(声 キアラ・マストロヤンニ)は元気な女の子、パパ(声 シモン・アブカリアン)とママ(声 カトリーヌ・ドヌーヴ)とおばあちゃん(声 ダニエル・ダリュー)に囲まれ何不自由ない生活。 しかし革命が起きてイスラム政権が誕生すると生活は一変し、反政府主義者として投獄されていたアヌーシュおじさん(声 フランソワ・ジェローム)が戻り風紀は厳しく取り締まられイラン・イラク戦争も勃発。 それでもマルジはパンクを愛し自由な心を失わないが、マルジの反抗心旺盛な言動は自由主義の母をも不安にさせ両親はついにマルジをイランからウィーンへと留学させることを決意しますが・・・。
ブルース・リーとロックとケチャップを付けたフライド・ポテトが大好きな女の子マルジが、イラン革命を期にそれまでの自由な社会からイスラム政権に変わったイランを離れ自由の国オーストリアのウィーンに留学し、何不自由ない生活と自由を謳歌していきますが“果たして自分のアイデンティティ−”は何なのかと考えるお話しです、イランの実情や歴史って僕たちは知っているようで知らないから勉強にもなりました。
元気で明るいマルジの目を通してイランの世界大戦以降の歴史と人々のイランの生活を描き、イランの一般の人々も黒いヴェールを目深に被らなければいけない事を煩わしく思っている女性達が沢山いたこともよく分かりました、宗教のことだし何も言えないですがやっぱり一部のイスラム教やイスラム政権は女性や子供達に厳しいと思います。
イランのイラン革命以降の現代史がわかってそれも楽しさの一つでした、僕が物心ついて学校でイランについて教わったころはすでにイスラム教の国だったし始めからイスラム政権だと思っていました、マルジャン・サトラピ監督の自伝的小説の映画化とのことなので本当にイラン現代史の勉強にもなりましたし映画としても面白かったです。
ヴァンサン・パロノーが共同監督を務め、ヒロインのマルジとその母タージの声を担当したのは実生活でも母娘のキアラ・マストロヤンニとカトリーヌ・ドヌーヴで、マルジのおばあちゃんには大女優ダニエル・ダリューと声優陣も豪華でした、お勧めします。
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