 | ブラッド・ピット自身が製作者の1人に名を連ね、ニュージーランド出身の無名の新人アンドリュー・ドミニクによる脚色をドミニク自身が監督して映画化しました。西部開拓時代に起きた奇妙な事件を、郷愁や詩情たっぷりに描き堂々たる叙事詩に仕立てた力作でした。 俳優陣では売れっ子ベン・アフレックの弟で、本作での役どころを繊細に演じてアカデミー助演男優賞にノミネートされたケイシー・アフレックの好演が出色です。また本作と「ノーカントリー」で第80回アカデミー賞で撮影賞にWノミネートされた名手、ロジャー・ディーキンスによる映像が圧倒的に美しかったです。
19世紀後半、兄フランク(サム・シェパード)や仲間と共に強盗や殺人などの犯罪を繰り返すジェシー・ジェームズ(ブラッド・ピット)。しかし南北戦争に勝った北軍側政府による、圧政に苦しんでいた南部の各州では抵抗の象徴として英雄視される。1881年、列車強盗を計画するジェシーたちの前に、ジェシーを崇拝するが小心者の若者、ロバート(ケイシー・アフレック)が自分を仲間にしてくれと売り込んでくる。ジェシーはフランクと意見を違えながらもロバートを仲間にし、ロバートは有頂天だが……。
アメリカ西部開拓時代の伝説的アウトローにしていまなお南部の人々に愛される英雄ジェシー・ジェームズと、彼を慕いながらも最終的に彼を背後から撃ち殺した卑怯者としてその名を残すロバート・フォードとの、切なくも皮肉な運命を荒涼とした西部の美しい風景と共に描くウエスタン・ドラマでした。 出演はジェシー・ジェームズ役には先日“ブランジェリーナ”で来日したブラッド・ピット、暗殺犯のロバート・フォード役にベンの弟ケイシー・アフレックなど。 南北戦争後、仲間を率いて強盗や殺人など無法の限りを尽くした重罪人ブラッド・ピット演じるジェシー・ジェームズ、北軍側政府の圧政に苦しむ南部州民からは抵抗の象徴として次第に英雄視されていきます。 1881年に兄サム・シェパード演じるフランクと新たな列車強盗を企てていた彼の前に、自分を売り込む若者のジェームズ一味のメンバーのサム・ロックウェル演じるチャーリーの弟で、ジェシーを人一倍崇拝する小心者の青年ケイシー・アフレック演じるロバート・フォード、ジェシーは一存で仲間に迎え入れるのでしたが・・・。
40歳を過ぎてもまだなお凄まじい人気を誇るブラッド・ピットが製作も主演もしていました、ボブの恋人ドロシー役でズーイー・デシャネルや懐かしいメアリー=ルイーズ・パーカーも美しいジェシーの妻ジー役で出演、悪人顔で善玉を演じることの少ないサム・ロックウェルもケイシー・アフレックの兄チャーリー役で出演、他にもシブいサム・シェパードなどドミニク監督の適材適所の配役ブリには流石だなと唸らされました。
ジェシー・ジェームズについては伝説的な英雄といった存在だと言うことぐらいしか知りませんが、真の人間性が見られないジェシーが本当はどんな人物だったのかが少し伝わってきました、若いケイシー・アフレック演じるロバート・フォードは何故ジェシーを暗殺しなければならなかったのかを描いた“心理ドラマ”でしたが、また伝説的な英雄のジェシー・ジェームズを“卑怯にも背後から”暗殺したボブのその後も描いていました。
ブラピは『リバー・ランズ・スルー・イット』の自然児役や『ジョー・ブラックをよろしく』の悪魔のように、“自然児・野生児”を演じるのがとても上手ですよね(ジョー・ブラックは悪魔でしたか)、今回も伝説的英雄ジェシー・ジェームズを演じていましたがこういった陰のある自然児役も上手ですよね。
ジェシーに憧れて彼の仲間となったロバート・フォードでしたが、ディックともめていたジェシーの従兄弟のウッドを背後から撃ち殺したことがきっかけで大きく変わっていきます、ジェシーが怖れていたのは保安官でも追っ手でもなく仲間で次々と仲間を撃っていきますが、もっとも信頼していた仲間を撃たなければいけない立場のジェシーとカリスマを撃ったボブの姿が対照的でした。
この映画はきっと『ジェシーは背後から撃ち殺したロバート・フォードのその後』と、『背後から卑怯にも無法者ジェシー・ジェームズを撃ち殺したボブを、臆病者とする国民性』を伝えたかったのでしょう、確かに2時間40分は長いですが僕は面白く見られました、ケイシー・アフレックは完全に兄のベン・アフレックを超えてしまいましたね。
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