 | 「アラビアのロレンス」でお馴染みの名優ピーター・オトゥールが本作では、人生の年輪を重ねた往年の人気スターというどこか彼自身にも相似た主人公に扮して、味わい深い演技を披露して8度目となるアカデミー主演男優賞にノミネートされた作品です。 その相手役には新星ジョディ・ウィッテカーが抜擢されて溌剌とした好演を披露、監督は「ノッティング・ヒルの恋人」のロジャー・ミッシェル。
かつては華やかな人生を送ったものの、いまや70代の老境を迎え、ひとり侘しい日々を送る往年の人気俳優モーリス(ピーター・オトゥール)。ところが老優仲間のイアン(レスリー・フィリップス)が、「こんな当世風の若い娘、とうていわしの手には負えん」と、田舎からやってきた姪娘のジェシー(ジョディ・ウィッテカー)の世話係を押しつけてきたことから、モーリスが彼女の相手をするハメに。無作法で世間知らずのジェシーだったが、そんな彼女の若さと美しさにモーリスは年甲斐もなく魅せられるようになり…。
「アラビアのロレンス」の名優ピーター・オトゥールが性・生に執着をみせる孤独な老人の悲哀を見事に演じきり、8度目のアカデミー主演男優賞にノミネートされて話題にもなった人生賛歌のコメディ・ドラマです、監督は「ノッティングヒルの恋人」のロジャー・ミッシェル。
70代の英国人俳優のピーター・オトゥール演じるモーリスは人気スターでしたが、いまや回ってくるのは端役ばかりで私生活でも妻ヴァネッサ・レッドグレーヴ演じるヴァレリーと別居し独りで暮らす淋しい老人。 そんなある日モーリスは友人のレスリー・フィリップス演じるイアンのもとにやって来た姪の娘ジョディ・ウィッテカー演じるジェシーと出会い、乱暴な口を利いて無作法なジェシーでしたがモーリスは若くて美しい彼女に年甲斐もなく心ときめかせてしまいます、ジェシーに手を焼くイアンに乞われて何かとジェシーの相手をするモーリスでしたが・・・。
名作『ノッティング・ヒルの恋人』の監督ロジャー・ミッシェルが送るラブ・コメディでした、脚本のハニフ・クレイシと共にロジャー・ミッシェルが谷崎潤一郎の、介護される老人が息子の嫁に渇望する『瘋癲老人日記』という作品にインスパイアされてこの『ヴィーナス』もそんな作品になっていて、ある意味『お爺ちゃん版プチ・プリティ・ウーマン』とも言える作品でしたね。
傑作『アラビアのロレンス』の透き通った青い瞳が今も忘れられないピーター・オトゥールが、ある意味今の自分を演じたような見事な演技でオスカーにノミネートされた作品ですね、彼の独特で枯れたような演技はオスカーは残念ながら穫れませんでしたが印象的で素晴らしいモノでした。
ジェシー役のジョディ・ウィッテカーも僕は思いっ切りタイプだったんですが可愛らしくて良かったですよ、初めは本当にじゃじゃ馬で若いだけのモデル志望のお菓子をボリボリ食べるだけの女性でしたが、モーリスから『ヴィーナス』と呼ばれるようになって段々と大人の女性に近づいて行くのですが・・・。
“老人だって恋したっていいじゃない”と言った感じでしたが『死と生』を強烈に感じさせる作品でもありました、ヴァネッサ・レッドグレーヴ演じる妻のヴァレリーとの最後のやりとりも素晴らしかったです、イアンやドナルドら仲間達とのシーンや“ヴィーナス”ジェシーとの会話や海辺でのデートも良かった。
オスカーは穫れなかったけど味わい深くていかにも“イギリス映画”といった感じを受けましたね、ラストのジェシーの表情やラスト・シーンも最高でした、ピーター・オトゥールの青い瞳はまだ輝き続けていました、お勧めします。 |