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「ウェイトレス~おいしい人生のつくりかた」をお勧めします。

ケリー・ラッセル、凄く魅力的でした。

画像:waitress.jpg説明
テレビ「フェリシティの青春」でブレイクし、「M:i:III」「奇跡のシンフォニー」などでキャリアを重ねるケリー・ラッセルが、暴力夫から逃げだそうともがくヒロインを熱演した女性ドラマの注目作品です。
パイ作りの才能には恵まれたものの、男運には恵まれなかったウェイトレスのヒロインが、密かに貯めたヘソクリで夫から逃げだすことを決意するのですが・・・。
女優でもある監督エイドリアン・シェリーは、ヒロインの同僚役で出演もしています、喜怒哀楽を料理として表現したオリジナリティあふれるヒロインの創作パイの数々も見どころの佳作ですだ。



 片田舎のダイナーでウェイトレスとして働くジェナ(ケリー・ラッセル)はパイ作りの天才。そのときの気持ちを表現した彼女のユニークなパイは、ダイナーの名物となっていた。だが一方、私生活での彼女は、嫉妬深い暴力夫アール(ジェレミー・シスト)に支配され、悲惨な毎日を送っていた。そんなある日、ジェナはついに家出を決意するが、その矢先に妊娠が発覚してしまう。産婦人科に出向いた彼女は、そこで誠実なポマター先生(ネイサン・フィリオン)と出会い、次第に惹かれて行くのだが……。


ハル・ハートリー作品をはじめインディペンデント映画で活躍してきたエイドリアン・シェリーが、妊娠中に書き上げたという脚本を自らメガフォンをととって映画化した人生賛歌の女性ドラマでした、低予算ながら大ヒットした作品だったので観るのがとても楽しみでした。
田舎のダイナーでウェイトレスとして働く女性をヒロインに、予想外の望まない突然の妊娠でわき上がる戸惑いや不安を乗り越え幸せに向かって、一歩を踏み出す姿をハートウォーミングに綴った素晴らしいラブ・コメディ・ファンタジーでした。
なお監督のエイドリアン・シェリーは本作完成後の2006年の11月に惜しくも他界してしまったそうです、しかしその遺児のソフィ・オストロイがヒロインの娘ルル役で登場しています。

アメリカ南部の片田舎の小さなダイナーのウェイトレスのケリー・ラッセル演じるジェナはパイ作りの天才、その時の気分をそのまま反映したオリジナル・レシピで作るユニークなパイの数々は胃袋だけでなく心も豊かに。
が私生活では嫉妬深くて駄目な夫ジェレミー・シスト演じるアールに支配される苦痛なだけの毎日、同僚のドーンやベッキーたちと相談していよいよ家出を決意した矢先に予想外の妊娠が発覚します。
家出も出来ずかといってアールの赤ちゃんも産みたくないとすっかり八方ふさがりのジェナ、落ち込む彼女の前に新任の産婦人科医ネイサン・フィリオン演じるポマターが現われ、優しく誠実なポマター先生に次第に心惹かれていくジェナでしたが・・・。

今年は料理モノやレストランを舞台にした優れた良い映画が本当に多いですね、美味しそうなパイや料理をふんだんに見せてくれる映画は『ショコラ』や『幸せのレシピ』などこの何年か沢山公開されていますが、“パイ”だけにここまでこだわってそれを映画の主題にした例も珍しいかなと思わされました、僕の師匠のおすぎさんもこれが初めてなんじゃないのと言ってました。

ケリー・ラッセル演じるジェナがパイを発明したり考えたりすると色々美味しそうなイメージがジェナの頭に現れて、名付けて“アールの赤ん坊なんていらないパイ”とか“淫らなパンプキン・パイ”という具合に何でもパイのレシピにしてしまう特性を持った女性でした、しかし日常生活はついうっかり結婚してしまったジェレミー・シスト演じる暴力男アールと別れることばかりを考える毎日、ケリー・ラッセルの感情と共にクルクルと変わる表情がとても美しくて見事でした。

このアールを演じるジェレミー・シストはホラー映画には欠かせない俳優さんで僕好きですが、自己中で嫉妬深くて束縛好きでお腹の子供にも嫉妬深い暴力夫を好演してました、実は野蛮なだけで無くてしみったれ男でもあるアールを描きながら女性の弱さと強さを見せてくれます。

仲間のドーン(これがエイドリアン・シェリーです)やベッキー達とのワイワイ話す話しの内容も微笑ましいですが話題もつい吹き出してしまうモノでした、ポマター先生との愛のある不倫や“ただのクソジジイの偏屈オヤジ”のジョーとのやりとりも素晴らしかったです。

皆さんに観てもらいたいから多くは語りませんが素晴らしい映画でした、登場人物全てが“少しの不幸”を背負いながらも前向きな姿が素晴らしかったです、予想以上に素晴らしくてラストの皆が幸福な気分になるのもいいですね、お勧めします。