 | ボスニアの激しい民族紛争から十余年、父親は祖国のために戦って死んだ英雄だと聞かされ母親の女手一つで立派に生まれ育った12才の少女が、やがて思いがけない真実に直面する様子を描き出した作品でした。 これがデビュー作となる32才の新人女性監督ヤスミラ・ジュバニッチが、戦争に対する憤りと母娘への深いいたわりと愛情をこめて、哀切なタッチで描写しています。 主演は「アンダーグラウンド」のミリャナ・カラノヴィッチと新人ルナ・ミヨヴィッチ、2006年のベルリン国際映画祭ではグランプリの金熊賞、エキュメニカル賞に平和映画賞を受賞したそうです。
ボスニア・ヘルツェゴビナの首都サラエボで、12才の一人娘サラ(ルナ・ミヨヴィッチ)と2人きり、慎ましくも平和な毎日を送るエスマ(ミリャナ・カラノヴィッチ)。父親はかつてのボスニア紛争で祖国のために戦って死んだシャヒード(殉教者)だと、サラは聞かされていた。ところが、サラの通う学校で生徒たちが修学旅行に行くこととなり、シャヒードの遺族はその費用が免除となるにも拘わらず、母親が必死に修学旅行代を稼ごうと働く様子を見て、サラは疑問を抱くようになり…。
第二次世界大戦後のヨーロッパで最悪の紛争となった、ボスニア・ヘルツェゴヴィナの内戦によってもたらされた深い爪痕に苦しむ母娘の、再生と希望の物語を描く衝撃と感動のヒューマン・ドラマでした。 主演は「アンダーグラウンド」のミリャナ・カラノヴィッチと新人ルナ・ミヨヴィッチ、監督は地元サラエボ出身でこれがデビューとなる弱冠32歳の女性監督ヤスミラ・ジュバニッチです、2006年のベルリン国際映画祭ではグランプリの金熊賞を受賞しエキュメニカル賞と平和映画賞も受賞したそうです。
ボスニア・ヘルツェゴヴィナの首都サラエボのグルバヴィッツァ地区、女性たちの集団セラピーに通いながら12歳の娘ルナ・ミヨヴィッチ演じるサラと2人で暮らしているシングルマザーのミリャナ・カラノヴィッチ演じるエスマ、生活は苦しいですがナイトクラブでエスマは深夜まで働く日々です。 父親がシャヒード(殉教者)であることを誇りに思う活発な少女サラでしたが、同じシャヒードの遺児ケナン・チャティチ演じるサミルと友情を深めていき彼から父の最期を訊かれ何も答えられなかったサラは、父のことを話そうとしないエスマに次第に不満を募らせていくのでしたが・・・。
思っていたよりもずっとシリアスで重いテーマが隠された映画でしたが親子の絆もテーマとして描いていました、この映画の原題でもあるグルバヴィッツァとはサラエボの地区の名前で92年のボスニア紛争で『民族浄化』の名の下に、世界でも類を見ない悲劇の舞台となった場所の事です。
僕らは“ボスニア紛争”という戦争のことについてニュースや新聞などでよく聞きますが、実際の“ボスニア紛争”については何にも知らなかったんだなぁと思いました、でもこの映画はサラエボの紛争を声高に叫ぶ訳ではないですがボスニアの内紛が凄まじいモノで、いまだに人々の心に深い傷を残しているんだろうと知ることができました。
シャヒードの父を誇りに思っている娘サラと必死に働きながらボスニア紛争のこと、そしてサラのことを愛するあまりにサラの父親のことやボスニア戦争中に何があったのかをひた隠しにする母親のエスマ、しかし必死にサラの修学旅行代を払ったエスマに銃口を向け父親が誰かを問いただすサラ。
『親のこころ子知らず』とか『戦争を知らない子ども達』とは良く言ったものです、エスマのサラに語る真実も凄まじいモノがありましたがそれ以上に2人の親子の絆の堅さに感動させられました、観た後もとても爽やかな余韻に浸ることが出来ました、お勧めします。
|