 | この映画を「ウィルチェアーラグビー(車いすラグビー)の選手たちに迫ったドキュメンタリー」…というと、障害者の苦悩を描く繊細な作品を思い浮かべるかもしれないでしょう、僕も観る前はそう思いました。 もちろんこの『マーダーボール』もそうした部分をとらえてはいますが、いわゆるお涙頂戴的な表現は皆無と言っていいかもしれません。“殺人ボール”とかつて呼ばれたスポーツに打ち込むヤツらは、むしろ前向きで豪快でヤンチャ。そして何より選手として高い誇りを持っています。だから普通のスポーツ選手のように勝てば子どものように喜ぶし、負ければ涙を流して悔しがります。 そんな彼らはとても美しくてカッコよくて、そこには障害の有無など関係ないように思えます。 男の“誇り”と“カッコよさ”の意味が、ストレートに伝わってくる作品です。
その激しさから“マーダーボール”とも呼ばれている車いすラグビー(ウィルチェアラグビー)で世界一を目指す個性豊かな面々に密着したスポーツ・ドキュメンタリー。マーク・ズパン率いるアメリカ代表チームと、“裏切り者”ジョー・ソアーズが監督を務めるカナダ代表との因縁の対決を軸に、ケガを乗り越え過激なスポーツに打ち込む選手の姿や、恋人や家族など彼らを取り巻く周囲の人々との関係を赤裸々かつエネルギッシュに描き出す。
この”マーダー・ボール”は僕もどんな競技か知っていました、僕も身体は大きいのですが両腕の筋肉は丸太ん棒みたいに太くて、イカツい車椅子をしたお兄ちゃん(僕の方がおそらく年上ですが)たちをラポールで見たりします。 最初はちょっとまとまりがない映画だなぁと思っていましたが、観て行くうちにこの映画は単なる「障害者スポーツ」のお涙頂戴モノのドキュメンタリーではなく、「ウィルチェアーラグビー」を普通のスポーツモノと同じように扱っているので、こういう風な作品になったのかなと思うようになりました。 「ウィルチェアーラグビー(以前は”マーダー・ボール”)」というよりも、「ウィルチェアーアメリカン・フットボール」といった感じに近いですかね、見た目も全体から受ける印象もそれに近い感じが見します。 祖国であるアメリカを裏切ってカナダのチームのコーチになったジョー、アメリカを支える中心選手であるズーパン、そして障害者となってしまいこれからの道を模索中に”マーダーボール”と出会ったキース・・・・・・。 彼等を中心にストーリーは展開していくのですが、ホントに感傷に浸ることなくひたすらに”勝ちたい”と闘志を燃やす姿が綴られていきます。 他の人の感想を見ると”大絶賛”のオン・パレードでしたが、自分が障害者のせいか皆この映画を絶賛しないといけない様な気持ちにかられて、この映画を褒めているようにも感じました、大袈裟に言えば”腫れ物にさわるような”感じを受けました。 確かにオスカーのドキュメンタリー部門にノミネートされたぐらいの作品ですから、いい作品だとは思いますが、そんなに「大絶賛しなければ映画通じゃない」といった作品だとも思いませんでした、ナカナカいいドキュメンタリーだとは思いましたが。 選手の一人があるものに入ってスタッフをビックリさせるシーンがありますが、あのシーンには笑いました、そういう笑えるシーンも沢山ありました。 同じように見えたり思えても、人それぞれ障害の種類や大きさは違います、この映画を見て一人でも多くの人がその事について考えてくれたらとも思います、お勧めします。
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